箱根口。ここからは万丈の山と千尋の谷が待つ八里の旅路となる。三枚橋で海の香りをまとい物見遊山気分だった旅人は、ここで潮風に吹き飛ばされる。先行きを仰ぎ見て萎えるのだ。ただ旅慣れた田沼意義は、道の険しさとは別の障害を感じていた。江戸市中を詮索し相良藩邸を出たあたりから尾行の気配があったのだ。小田原で泊った宿を出立する際、その追手をおびき寄せて始末する決心をした。道は木々や草葉の茂りで見通しが悪くな…
コンテスト特別賞受賞作品の記事一覧
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小説『鼠たちのカクメイ』【新連載】横山 由貴男
尾行の気配に追手をおびき寄せて始末しようと仕掛けさせると十代半ばの少年のようで…
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エッセイ『「彼」とのこと』【第4回】岡林 由希子
彼は旅立って行った。十三歳だった。私は生前、滅多に触らせてもらえなかったほっぺを撫で、彼に別れを告げた。
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エッセイ『「彼」とのこと』【第3回】岡林 由希子
右手に障碍のある愛犬。ある日、裂傷を負い、歩くことが難しくなった。右手が引っ掛かるような足の運びで…
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エッセイ『「彼」とのこと』【第2回】岡林 由希子
愛犬との騒がしいけれど愛しい日々。それは、永遠に続くかと思われた幸福だった… 。九年目の夏、彼は体調を崩した。
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エッセイ『「彼」とのこと』【新連載】岡林 由希子
血統書付きの血筋をもつ「彼」に心臓をブチ抜かれ、恋に落ち、夢中になった私