手の指がない。握ると、思い知る。拳がきつく固まらず、二の腕の筋肉は盛り上がるが、力は霧散していく。例えばこの拳で何かを殴っても、壊れるのは短い三本の指。それほどにだらけて固くない。はがゆく、青筋を立て歯を食いしばり力を込めるけれど、込める先が切れているのだからどうしようもない。それでも許せず渾身の力を込め、残っている指の爪が掌に食い込み血が滲むほどに込め続け、そのうちに疲れ果てて眺めると、握りよ…
小説
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『小窓の王』【新連載】原 岳
【山岳小説】あの遭難事故以来、こんなことが続いている…手の指がない。握ると、握りようもない三指の断面がギロリと露わになる
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『上海の白い雲』【第10回】河原 城
妹が天国に逝った。幸せな人生を送らせてあげたかった。お金を貯めて、大きな病院に入れて、私が毎日お見舞いに行って…
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『左遷、最果てのパラダイスへ』【第21回】木山 空
あれだけ精神的に参って、鬱状態になっていた僕。3日間東京に戻り家族で過ごしただけで前向きな気分になれたことに驚いた。
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『幸せを呼ぶシンデレラおばさんと王子様[2024年話題作ピックアップ]』【第4回】武 さき
不倫した元夫との久しぶりの食事。「今、どうしているの」と聞こうと思ったが止めた。もう関係ないから。
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『ALS―天国への寄り道―[人気連載ピックアップ]』【第13回】島崎 二郎
「私、生きていてもしょうがないかなぁ~」それは、ALSになった妻の、私に対する重い覚悟の問いかけだった
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『哀瞳のレムリア』【第7回】岩下 光由記
ネイティブアメリカンの末裔の儀式に参加。年老いた女性から「誇り高い勇者の民の末裔ね」と言われ…
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『アザレアに喝采を』【第7回】藤咲 えこ
生理は来ないことが当たり前になって、体重は36キロになった。目だけが大きく、何を着てもぶかぶか…食べることが怖い。
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『左遷、最果てのパラダイスへ』【第20回】木山 空
「沖縄に来て一緒に仕事しないか?」中古車屋で出会った若手社員をヘッドハンティング
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『幸せを呼ぶシンデレラおばさんと王子様[2024年話題作ピックアップ]』【第3回】武 さき
不倫した夫への最後の手紙。「私も新しい恋があるかもしれません。少しワクワクしています。」
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『ALS―天国への寄り道―[人気連載ピックアップ]』【第12回】島崎 二郎
「いつ、恩を返せばいい。私に、これから、何ができるの?」―ALSの闘病生活の終わりは、死しかない。妻は…
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『猫と狸と、ときどき故郷』【第7回】宮本 正浩
猫の社会にも人間と同じように介護施設のあることをご存じですか。猫は死を恐れません。
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『眠れる森の復讐鬼』【第11回】春山 大樹
入院初日の夜、男の怒号が病室の中まで響き渡る。旧知の仲の看護師のため、迷惑は承知の上で禍患を覗いてやろうという気になった。
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『海辺のレクイエム』【第7回】源 久
恋人のふりをする彼女。日本人離れした色白の目鼻立ちの整った顔立ちだが、それ以上に男の目を惹く女だということを感じずにはいられなかった。
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『左遷、最果てのパラダイスへ』【第19回】木山 空
「繰り返しになりますが、沖縄の人はそんな細かいことは気にしません...名刺も所長で作ってあります。」沖縄スタイルにたじたじ。
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『幸せを呼ぶシンデレラおばさんと王子様[2024年話題作ピックアップ]』【第2回】武 さき
「もうあなたを愛せない!」別れを切り出した夜、主人は何も言わず私のベッドに入ってきて...
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『ALS―天国への寄り道―[人気連載ピックアップ]』【第11回】島崎 二郎
転院先への違和感…入院中の妻は「看護師さんは忙しいから」と言うけど、私は転院当初のことが頭によぎった。同意書を渡され…
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『刀の反り』【第7回】大髙 康夫
自分の腹に刺さった脇差を信じられないものでも見たような顔付きで見詰めた。「命の遣り取りに卑怯などと言うことはないわ。何をしようと勝てば良いのだ」
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『シュバルツ・ヴァルト』【第7回】萬野 行子
兄の車がフェンスに激突し、大破した。砕け散った破片がスローモーションで四方に飛び散った。そして私はたった一人の兄を失った
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『鼠たちのカクメイ』【第2回】横山 由貴男
野良犬がたむろしている。何かを争って食っているようだ。犬たちを石で追い払うと、そこには真新しい遺体が…
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『左遷、最果てのパラダイスへ』【第18回】木山 空
「奥のテーブルでコーヒーでも飲みながら歓迎会のようなことをさせていただきます」言葉や態度から歓迎されていないと感じた。