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  1. 小説
    『幸せを呼ぶシンデレラおばさんと王子様[2024年話題作ピックアップ]』
    【新連載】
    武 さき
    1位 1

    ホテルの出口から見知らぬ女と一緒に出てくる夫を目撃してしまう。悔しさがこみ上げる。許せない。裏切られた。離婚しよう。

    「ねぇ、すみません。カフェオレのお代わり下さい」今、ドーナツ屋さんで大好きなホットカフェオレを飲みながら主人との生活や子供達そして三週間前の事を思い返している。あの時、あの時間にあそこを通らなければ…
  2. エッセイ
    『ALS―天国への寄り道―[人気連載ピックアップ]』
    【第5回】
    島崎 二郎
    2位 2

    検査入院中、布団が重いと言う妻。その言葉を聞いた医大生たちは「ALS…」とつぶやき合った。そして、私の耳元で…

    母親の件が一段落しても、妻の「脊柱管狭窄症」の病気は一向に良くならない。そのことが、私の気がかりごとになり始めた。「まだ手術するほどではない」「手術しても完治しない人もいる」「最後は手術がある」整形…
  3. 健康・暮らし・子育て
    『『幼学綱要』を読む』
    【第19回】
    河野 禎史
    3位 3

    罵るのをやめない顔杲卿(がんこうけい)。戦いに負け、縛られ、体の肉を引き裂かれ最後は......

    かつて、帝(みかど)に上(たてまつ)る文(ぶん)である「出師(すいし)の表(ひょう)」には、こう伝(つた)えています。「先帝不レ以二臣卑鄙一。猥自枉屈。三顧二臣於草盧之中一。諮レ臣以二当世之事一。繇…
  4. 小説
    『夫 失格[人気連載ピックアップ]』
    【第10回】
    時亘 一肇
    4位 4

    遂に夫の浮気相手から返答が… 悪いのは夫、その思いが確信へ変わる

    心菜さんから返信があった。〈昨日は、すぐにメールを返さずに失礼しました――〉――突然のことで私も混乱しています。ご主人とは、ゴールデンウィークの前に知り合い、休みの前に初めて食事に行き、独身だと言う…
  5. 小説
    『アイアムハウス』
    【新連載】
    由野 寿和
    5位 5

    静岡県一家三人殺害事件発生。その家はまるで息をするかのように、いや怒っているかのように、大きく立ちはだかり悠然としていた

    午前十一時。サイレンを鳴らさず、車両は静岡県藤市十燈荘(じゅっとうそう)に到着した。静岡中央市にある県警本部から十燈荘までは、藤湖をぐるっと大回りして藤市経由でトンネルを通り、小山を登ることになる。…
  6. 小説
    『幸せを呼ぶシンデレラおばさんと王子様[2024年話題作ピックアップ]』
    【第2回】
    武 さき
    6位 6

    「もうあなたを愛せない!」別れを切り出した夜、主人は何も言わず私のベッドに入ってきて...

    「明日から行くから」と。私は無視して二階に上がった。主人がシャワーから上がって寝室に入ってきた。主人に背を向け寝ているふり、主人が私のベッドに入って来た。「何!」大声で言い放った。主人は何も言わず私…
  7. 小説
    『カナダの風』
    【第9回】
    森園 初音
    7位 7

    カナダは、長い間イギリスやフランスの植民地だった。やっと解放されたカナダの人々にとって、国家は自立の証のようなもので…

    一九四一年、太平洋戦争が勃発し、カナダと日本は敵対国となった。一九五二年、初めてカナダ人の総督ヴィンセント・マッセイが任命された。一九六四年、イギリスの国旗「ユニオンジャック」に代わって、「赤いメイ…
  8. エッセイ
    『プリン騒動[人気連載ピックアップ]』
    【第11回】
    風間 恵子
    8位 8

    「なんだ、そのひからびた乳は! そんなんじゃ、ちゃんと育たないべ。」授乳中、お構いなしに入ってくる義父...

    私は双子を産んだと言うよりは、出してもらったと言った方が正しいかもしれない。帝王切開だった。二卵性の双子。双子は、性も顔も一緒の一卵性と想像する人が多いと思うが、私の場合、性は男と女、顔はあまり似て…
  9. 小説
    『カナダの風』
    【第11回】
    森園 初音
    9位 9

    船底には、檻に入った若い娘たちがいた。外国の港に着くと、一人ずつ大勢の前に立たされ、「50ドル、若い子だよ」と…

    万蔵はこの口之津で生まれ育った。知り合いの兄貴のような人から、外国船に乗って仕事をすると給金も高いし、唐(中国)や天竺(インド)などの珍しい国を見て回れるぞ、と聞かされて育ち、いつか大きくなったら自…
  10. エッセイ
    『ALS―天国への寄り道―[人気連載ピックアップ]』
    【第10回】
    島崎 二郎
    10位 10

    「今日ハ、何、食ベタノ」手動式の五十音字表で、何度も同じ質問をしてくる妻。少し苛立ったが、違う…妻の本当の想いは…

    パソコンをベッドに引き寄せてから五分ほどして、京子の深い瞬きの合図がありました。パソコンを見ると漢字変換された立派な文章がそこにありました。「今日、何、食べたの?」五十音字表をかざしての手動で作る言…
  11. エッセイ
    『ALS―天国への寄り道―[人気連載ピックアップ]』
    【第6回】
    島崎 二郎
    11位 11

    余命は一年未満。現状治療法はない…「私達は、まだ、…まだ、余裕があるよね」一生懸命、同意を求める妻の言葉に私は…

    「これから言うことは……あくまで平均寿命のことであって、……」まわりくどい言い方だが、それだけ容易な状態ではないのだと思った。真剣な目で私の顔をゆっくり見た後、なおも少し多めに息を吸い込んで、再び私…
  12. エッセイ
    『プリン騒動』
    【第10回】
    風間 恵子
    12位 12

    部屋へ行く途中、夫とすれ違った時にファンデーションと香水の混ざった匂いがした。瞬間、私の血液は逆流した。

    案の定、今夜も飲み会らしい。「田中さんと飲みに行くから」と夫はシャワーを浴びに着替えを持って風呂場へ向かった。私は「今日も同じ人?」と心の中で?マークをつけながら独り言を呟いていた。するとその時、夫…
  13. エッセイ
    『ALS―天国への寄り道―[人気連載ピックアップ]』
    【第7回】
    島崎 二郎
    13位 13

    ALSになった妻が、私に料理を教え始めた。「一人前ならこのくらいかな」「一人ってなんだよ!?」妻は何も応えず、微笑んだ。

    元気だった頃の京子は茶道をしながらそれにまつわる歴史のこと、陶器の美に関すること、掛け軸に関することなど、さまざまなことを私に教えてくれた。私は趣味の一致するところだけ、共に楽しんでいたが、料理と茶…
  14. エッセイ
    『ALS―天国への寄り道―[人気連載ピックアップ]』
    【第8回】
    島崎 二郎
    14位 14

    「医師として、もう、責任が取れない段階に入っているということです」―妻の命がかかっている。あがく私に先生は…

    「ALSの場合、TDP-43のタンパク質量とかで、推定されるのでしょうか?」「それは、増えているということは分かっているんです。しかし、病気を快復させるために増えているのか、病状を悪化させるものなの…
  15. エッセイ
    『ALS―天国への寄り道―[人気連載ピックアップ]』
    【第9回】
    島崎 二郎
    15位 15

    妻の余命が三カ月を切った。生命維持装置を選択すれば、想像もできない苦しみが何年も続く…でも、私は妻のそばにいたかった。

    京子は、肺活量が急激に落ちている時期なのに、呼吸の苦しさの自覚がなく、暑い時期でもあり、呼吸の補助換気マスクを嫌がっていた。しかし呼吸不全がいつ起きてもおかしくない状態だと先生は言った。患者によって…
  16. 小説
    『ブッダの微笑み』
    【第17回】
    黒坂 和雄
    16位 16

    ゴーダマ・ブッダが亡くなったクシナーガル。その遺跡公園には身長約6mという、巨大な、ゴータマの涅槃像があった。

    ツアーの4日目はヴァーラーナシーでの泊まりであった。夕食後、中田は腹が少しおかしいことに気が付き、持参した市販の整腸剤を飲んだが腹の調子はむしろ悪くなっていった。日付が変わった午前0時40分頃、便意…
  17. エッセイ
    『ALS―天国への寄り道―[人気連載ピックアップ]』
    【第4回】
    島崎 二郎
    17位 17

    認知症の母の面倒を看てうつ病になった妻…私は妻を見放した。ふさぎ込む妻に、母は「性悪女ぁー」と叫んだ。

    その頃の私達には、認知症についての知識が全くなかった。実際に介護する京子と、たずさわらない者との認識の隔たりはあまりにも大きく、理解してもらえないもどかしさばかりが、京子一人の中につのっていった。家…
  18. 小説
    『幸せを呼ぶシンデレラおばさんと王子様[2024年話題作ピックアップ]』
    【第3回】
    武 さき
    18位 18

    不倫した夫への最後の手紙。「私も新しい恋があるかもしれません。少しワクワクしています。」

    なんと目が覚めたのが八時だった。ゆっくり起きて朝食の準備、好きな目玉焼きとウインナーソーセージ、サラダ、いつもの食事。洗濯機を回しながら、コーヒーを飲む。これからの流れを書きながらため息が出る。離婚…
  19. 小説
    『夫 失格[人気連載ピックアップ]』
    【第11回】
    時亘 一肇
    19位 19

    不倫相手からのメールによって徐々に明らかになる夫の行動 嘘に嘘を重ねる夫に味方はいない...? 

    一晩おいて、心菜さんからまた次の返信があった。〈おはようございます。お返事ありがとうございます――〉――証人として立つかどうかについては、もう少し考えさせてください。こんなことは初めてなので、どうし…
  20. 小説
    『ブッダの微笑み』
    【最終回】
    黒坂 和雄
    20位 20

    血便を垂れ流しながら進んだ。だが力尽き、「沙羅双樹の間に、頭を北に向けて床を用意しておくれ。私は疲れた」と…

    晩年、ゴータマはほとんどアーナンダ一人を連れて遍歴していたようである。権威はあったが、教団を率いている様子はなかったという。ゴータマの最後の旅はラージャガハの鷲の峰から始まった。幻影が中田に入ってく…