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「おねだりしてもいいですか?」珍しく幸恵が耳元でささやいた。「秀司さん、シャンパンを頂いていいですか?」今日は幸恵の誕生日で、食事をしながらシャンパンと白ワインを飲んだが、お店でもシャンパンを飲み直… -
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大やけどで真っ黒になった、壊死した指。両手10本とも第1関節から切断することに
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父に会いたい…。別れた父を求めて、かつて家族で暮らしていた家へ。十年ぶりに訪れたこの家に父はまだ住んでいるのだろうか…
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エッセイ『Re:start[人気連載ピックアップ]』【第8回】森 亜美
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今では、指輪すらはめることができない......交通事故で車が炎上し、一瞬で壊された日常
【前回の記事を読む】8月8日、縁起のいい日に次男が誕生。トマトが大好きで、食べかけのトマトをスーパーで購入したことも毎回性別を聞くのも楽しみでしたが、産まれてくるまでホントに女の子かどうか分からない… -
小説『大人の恋愛ピックアップ』【第3回】武 きき
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帰ろうとすると「ダメだ。もう僕の物だ」――キスで唇をふさがれ終電にも間に合わずそのまま…
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小説『再愛なる聖槍』【第2回】由野 寿和
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離婚した妻と娘と久しぶりに再会。元妻から「大事な話があるの」
惟子が時間に遅れるのは今に始まったことではない。交際していた大学時代からそうだった。 かつての惟子は本当に綺麗だった、と仲山は思い出す。いくら遅刻しようが、わがままを言おうが、大抵のことは容易(たや… -
小説『迷いながら揺れ動く女のこころ[人気連載ピックアップ]』【第16回】松村 勝正
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「あなただって奥さんに間違えられたっていいものね。付き添いの女性が美しいほど主人も気分が良いでしょう」と家政婦に言ってみた
【前回の記事を読む】あの日の夜のことは、私だけの秘め事。奥さまは何も知らないはずだ…。あの日以来、ご主人も私と距離を置こうと意識しているし…美月が美代子に向かって「テレビの宣伝で使用前、使用後の体を… -
小説『幸せを呼ぶシンデレラおばさんと王子様[人気連載ピックアップ]』【第3回】
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不倫した夫への最後の手紙。「私も新しい恋があるかもしれません。少しワクワクしています。」
なんと目が覚めたのが八時だった。ゆっくり起きて朝食の準備、好きな目玉焼きとウインナーソーセージ、サラダ、いつもの食事。洗濯機を回しながら、コーヒーを飲む。これからの流れを書きながらため息が出る。離婚…
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エッセイ『ねぇ!ばあば』【第5回】akiko
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初産で死にかけた私――産褥弛緩を起こし分娩台で黒い布を顔に被され電気も消され5時間ほどそのままの状態に
予定日までに入退院を繰り返し、何とか出産できたが、出産直後に産褥弛緩(両手両腕が震えだして自分の意思では止めることができずに震えがどんどん大きくなっていき、このまま死ぬのではないかと怖くなった)がき… -
小説『眠れる森の復讐鬼』【第16回】春山 大樹
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小説『不倫の何がいけないの?』【第25回】安本丹
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自分が不倫をしているんだという自覚はほとんどなかった。
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自分の顔なのに凄く怖かった......夫は気を使って、窓ガラスの反射や鏡で今の姿が映らないようにしてくれた
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小説『あら、50歳独身いいかも!』【第4回】武 きき
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「追いつかないほど、愛してくれる……彼に溺れてしまう」――年齢差なんて忘れてしまうくらい彼を好きになっていた
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信号無視の車が突っ込み、乗っていた車が炎上。後部座席にいた娘だけが救出された
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小説『終恋 [人気連載ピックアップ]』【新連載】高生 椰子
9
一通のショートメール…45年前の初恋の人からだった。彼は私にとって初めての「男」で、そして、37年前に私を捨てた人だ。
歩んだ人生は違っていたが、想いは同じだった。45年間を埋めるように最後の恋に賭けた二人。終活の中での終恋(しゅうれん)、残された時間は限られている。たとえ何があっても、私たちはこの恋を決して後悔はし… -
小説『夫 失格[注目連載ピックアップ]』【第9回】時亘 一肇
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「一緒の時間が一番幸せ♥」―ラブラブ浮気相手と旅行中の夫。衝動的に「訴えるぞ」とメールしてしまい…
【前回記事を読む】さっきまで浮気相手とホテルにいたらしい夫。私に電話をかけてきて「電車を乗り過ごしたから、隣駅まで迎えにきて」孝雄にメールを……。〈いつも気を遣わせてばかりで、すみません――〉――お… -
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小説『心ふたつ[人気連載ピックアップ]』【第18回】高田 知明
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母には見えてはいないが、なぜか母はその存在を知っている「おばちゃん」――母が子守唄を歌ってくれている時にも現れて...
【前回の記事を読む】家族みんなで食事をするとき「おばちゃん」はいつも俺の横にいた。「おばちゃん」はただじっと俺を見ているだけだった...その年、小学一年生になったばかりの姉はというと、大好きなハンバ… -
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さっきまで浮気相手とホテルにいたらしい夫。私に電話をかけてきて「電車を乗り過ごしたから、隣駅まで迎えにきて」
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小説『夫 失格[注目連載ピックアップ]』【第20回】時亘 一肇
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夫が2階に上がるたびに走る緊張感。少しずつ、少しずつ、荷物を運び出し、夫から離れる準備を進める…絶対に悟られてはいけない
【前回記事を読む】昼夜問わず怒鳴り続ける夫の声は、ご近所中に広まっていた。遂に家を離れる決心をし、行動することに…女性センターに電話すると、提携する弁護士さんを紹介してくれた。そして後日、その弁護士… -
エッセイ『心に咲いた向日葵』【新連載】丸山 珠輝
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父と母はいとこ同士だった。そして生まれた私には、両眼の眼球がなかった。そんな私のことを、親族や両親は…
心身ともに疲れ果てた丸山珠輝は、不思議な夢で目覚めた。場所はどこなのか全く分からない。ただ大勢の人がいるようだが、目の見えないのは珠輝一人らしい。そこは階段の中程らしく、珠輝はかかとから足のつま先ま… -
小説『黒い渦 日の光』【新連載】富山 栄一郎
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妻を亡くした私は七十歳が目前となった昨冬、四十年以上勤めた外科医の仕事を捨て、日本海側の地方都市に移住した
七十歳が目前となった昨冬、四十年以上勤めた外科医の仕事を捨て、私は思い切って日本海側の地方都市に移り住んだ。妻が亡くなって二年目の冬だった。妻とは長年連れ添ったが、子供はいなかったし、両親もすでに他… -
小説『夫 失格[注目連載ピックアップ]』【第4回】時亘 一肇
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逆ギレ浮気夫に「いっそのこと、そのお相手に代わってもらいたい。私を自由にしてほしい」と打ち明けた。すると夫は一言…
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