大学二年の秋学期である。メールの返信が一日でも空けば、何かあったのではないかと喜美子は気が気でなかった。空しく呼び出し音が鳴り続けた後、ぶつりと切れ、《ごめん! ちょっと忙しくて》と文字が送られてくる。初めて、自分の存在が彼女に迷惑を掛けていると感じた瞬間だった。休日のカフェはひときわ窮屈だった。「彼氏ができたの」嬉々として報告する幼馴染に、突発的に「おめでとう!」と口から出た祝福の言葉の意味を…
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