理緒子は世界を屁(へ)とも思っていなかった。困難にぶつかってわめきはするが、泣きはしない。悲しみに出合って嘆きはするが、打ちのめされない。他人に同情する或る種の優しさはあっても、情に流されることはない。理緒子は世の中を笑っていた。笑うことが好きだ。そしてあたりを射抜くように見ている。ときどき見せる洞察力ときたら、まったくナイフのようだとあさみは思う。どんなごまかしもきかないし、小細工はすぐに見破…
新着記事一覧
-
小説『29歳、右折の週』【第2回】言田 みさこ
世の中を笑っていた。笑うことが好きだ。そしてあたりを射抜くように見ている。
-
評論『人生100年 新時代の生き方論』【第6回】浅見 徹
突然現れたこの人生100年時代のあまたの環境変化にいずれ変わらざるを得ないと感じている。
-
小説『泥の中で咲け[文庫改訂版]』【第14回】松谷 美善
後輩より給料が2万円低かったことを知ってショック…。腹を立てて転職した先は、なんと「詐欺会社」だった
-
歴史・地理『古寺を訪ねて』【第6回】菅原 信夫
持国天、増長天、広目天、多聞天の四天王が忿怒の形相で邪鬼を踏みつけて多宝塔を護り固める。
-
小説『白い陥落~看護学生あずみの事件簿 2~』【第3回】叶浦 みのり
そこにはひとり、男性なのか女性なのか見分けがつかない人が立っていた。
-
小説『店長はどこだ[人気連載ピックアップ]』【第8回】八十島 コト
浮気疑惑のかかる亡き妻…法要の席で、店長の情報を耳にする。
-
エッセイ『朝陽を待ちわびて』【第12回】桜木 光一
「く、く、車椅子に乗れるようになったのですか?」ゼエゼエ言いながら部屋に飛び込んできた1人の若い男性看護師
-
エッセイ『嫁姑奮戦記[人気連載ピックアップ]』【第11回】大野 公子
あるとき、姑がえらく深刻な顔をして考え込んでいる。これはまたとんでもないことを言い出すぞと思っていたら案の定…
-
小説『夫 失格[人気連載ピックアップ]』【第11回】時亘 一肇
不倫相手からのメールによって徐々に明らかになる夫の行動 嘘に嘘を重ねる夫に味方はいない...?
-
エッセイ『中学最後の決断』【第7回】新澤 唯
文化遺産を現地で見た私が考えなければならないこと。それは戦争と平和に対する問いと答え
-
小説『ラーゴ 』【第3回】そのこ+W
私はストレーザの町に滞在することにした。ガランとしているミラノよりずっと快適に過ごせる。
-
小説『「その時、初雪が降った。」』【新連載】本城沙衣
恋愛運は……『絶不調』『新しい友人に要注意』 そんな日に僕は彼女と出会った…
-
小説『泥の中で咲け[文庫改訂版]』【第13回】松谷 美善
ある朝、僕の日常は一変する。工場に出勤したときに大騒ぎになっていた。あるトラブルの原因を僕のせいにされ…
-
エッセイ『こんな少子化対策 あったらいいね!!』【新連載】堂前 雄平
ある日私にかかってきた一本の電話。それは「少子化対策」への投げかけだった
-
歴史・地理『いにしえの散歩道』【新連載】大津 荒丸
文献に記されなかった人々の声は誰が聞く?…歴史学者がいつのまにか作り出す定説には罠がある
-
小説『店長はどこだ[人気連載ピックアップ]』【第7回】八十島 コト
やはり妻はシた側だった?…死に際に発した言葉は素性の知れない「テンチョウ」。
-
エッセイ『朝陽を待ちわびて』【第11回】桜木 光一
二度と立てないかもと諦めていた妻が…「立ったよ! 奇跡だ! 凄いよ!!」と叫び、下を向き泣いたリハビリ医師
-
エッセイ『嫁姑奮戦記[人気連載ピックアップ]』【第10回】大野 公子
寝ている姑の開いた口へ、たまたま落ちたタオル。取り除こうとした手が一時止まった。このまま逝ってくれたらという思いがよぎり…
-
小説『夫 失格[人気連載ピックアップ]』【第10回】時亘 一肇
遂に夫の浮気相手から返答が… 悪いのは夫、その思いが確信へ変わる
-
実用『こころと身体をこわさない 幸せダイエット』【新連載】加地 明代
医学部・歯学部の授業に栄養学はない。しかし法律的に栄養不足と診断していいのは、医師と歯科医師だけ!