光の中を蜂が飛びかっている。智子の目線は、そのうちの1匹を追い続けていた。不規則に飛び回っているように見えるが、蜂には意図がある。蜂はようやく小さな花弁に止まった。智子はそっと近寄って小さな蜂を見つめた。蜂は揺れる花弁に顔を入れ、小さな触手で花粉を撫で、触手に花粉を擦(こす)りつけると飛び去っていった。苺の苗は美しい緑の葉をたたえ、床に向かってツタを伸ばしていた。苺の小さな白い花は繁栄の証し。受…
新着記事一覧
-
小説『13.Feb チョコレーション』【新連載】齊藤 俊彦
天空のストロベリーファーム、外は音のない蒼空。ここには大気汚染物質も有害ウイルスも上がってこられない。
-
小説『身代守』【最終回】筒藤 純
母の仏前で手を合わせている父の背中が小刻みに震え出し…初めて見る父の泣いている姿だった
-
実用『不退転道場 仙台虚空蔵尊参詣礼拝のすゝめ』【新連載】西山 道環
仏教用語、不退転。自分で決めたことを覆さないこと、信念を持って屈しないこと。
-
実用『地震予知の絶望と希望』【第11回】佐藤 義孝
3.11直後に開催された特別シンポジウム「地震学の今を問う」。侃侃諤諤の議論に、地震予知体制が再び問われる。
-
小説『地上に輝く星たち』【新連載】カスミ シズカ
中学受験を機に三人で遊ぶことはなくなった。それでも、友情は変わったわけじゃない。
-
小説『娘からの相続および愛人と息子の相続の結末[人気連載ピックアップ]』【第11回】川井 れもん
元夫が2か月前に死亡していた! 正統な遺産相続対象者として息子は愛人の女性との相続調停へ
-
小説『アイアムハウス』【第12回】由野 寿和
6年前に引っ越してきた一家。何故、母親は急に去年の4月から働き出したのか?
-
小説『再愛なる聖槍[ミステリーの日ピックアップ]』【第10回】由野 寿和
「捜査一課がなぜ?事故じゃないんですか…」展望型巨大観覧車が停止し、ゴンドラの一つが墜落した。被害者は死亡して…
-
小説『たかちゃん幻想絵巻』【新連載】齋藤 務
たった一つの目に映る戦後の荒んだ社会と、あどけない少女。家族は、ある一つの信念をもって生きて行く...
-
小説『因果』【新連載】愉怪屋 編
女が首を吊っている!?―教授の養女と恋仲になった。屋敷を訪れる途中、大きな木を流し見て凍り付いた。我に返ると…
-
エッセイ『認知症になっても愛の二重奏』【最終回】三川 一夫
22年間、33回に渡り開催してきたミニコンサートも次で最終回。「ピアノを好きになってもらいたい」込められた思いにふさわしい最終回。
-
小説『師匠と弟子のワンダーランド』【新連載】儀賀 保秀
「ああ、弟子ね…え、弟子!?…弟子って、ひょっとして、この私に?」人気も実力もない喜之介に、突然イケメン弟子入り志願者が!
-
エッセイ『僕の大学デビュー天下取り物語』【新連載】松本 竹馬
「僕は完璧な大学デビューを果たそうとしている」七色に染められた"イケてる"髪をなびかせ、話しかけるのは...
-
絵本・漫画『ぼくはないた』【新連載】ほんだ よしこ
「燃やせるゴミ」の袋に ゴミと一緒に捨てられていたのは 生まれたての子猫たち…6月の雨の日 ぼくはないた
-
小説『天命愛憐』【第22回】せと つづみ
ぬかるんだ地面に倒れていた集井中将は、全く動かなかった。もう助からないのだろうか。道には血がいっぱい出ていて…
-
実用『地震予知の絶望と希望』【第10回】佐藤 義孝
予知できなかった3.11。「狭義の地震予知」が可能になるには、まだ100年以上かかる。
-
小説『ヴァネッサの伝言』【新連載】中條 てい
今自分が産み落としたはずの赤ちゃんが泣いていない…。生きているの? 安堵したのも束の間、あまりの静けさに現実に引き戻された
-
小説『ぼくらの風船』【第8回】美山 よしの
小学生二人のぎこちない仲直り。仲直りをした後、放課後に二人でおやつを食べていると、突然涙を流して...
-
小説『娘からの相続および愛人と息子の相続の結末[人気連載ピックアップ]』【第10回】川井 れもん
娘の葬儀代は1円も払わない、と宣言する元夫。それに加え、娘が生前に一生懸命貯めた命のお金を相続させろと言ってきて...
-
小説『アイアムハウス』【第11回】由野 寿和
刑事の矢継ぎ早な質問に気圧されそうになりながらもあの日目にしたことを話す第一発見者