春になれば食えるものは柳虫、ザリガニ、雷魚でも何でも食べた。だが、さすがに蛇は食べたことがない。私達兄弟は単に獸のように飢えていたのだ。ただ、普通の人間にある日常的感情は私には希薄であった。自分の欲しいものを手に入れることができなければ諦めるのは簡単であった。始めからないと思えばよかったのである。私のこの合理的なものの考え方は幼い頃からすでに備わっていた。始めからないものであれば私の個人的な感情…
新着記事一覧
-
エッセイ『孤高の歩み—虚無から創造精神へ—』【第4回】梅崎 幸吉
母は、精神病の父に離婚を迫った…母には男がいたのだ。この人は母じゃない、単なる他人だ。女だ。いやメスだ。
-
小説『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』【第20回】行久 彬
客たちはぎこちない笑顔とどことなく漂う暗い陰を持つ若くて美人のホステスに興味津々で…
-
小説『鶸色のすみか』【第17回】野原 ルイ
母が亡くなって一年。「私、母のこと好きじゃなかったんですよね。母のような大人になるくらいなら…」初めて他人に喋った。
-
エッセイ『あなただけが消えた世界』【第14回】上島 薫
未遂とはいえ、私は10年もがき苦しんできた。この問題に向き合おう。本人とちゃんと話そう。だが、彼の返答は「覚えてない」
-
小説『幸せを呼ぶシンデレラおばさんと王子様[2024年話題作ピックアップ]』【第26回】武 さき
元カノに触った手で触れてほしくなくて、私は夫を振り払ってしまった。その夜、帰宅後ドアを閉めると同時に夫が激しく…
-
評論『ストップthe熟年離婚[人気連載ピックアップ]』【第17回】清水 一郎
職場と家庭だけの繋がりは危険信号? 社会関係資本の欠如が夫婦間の溝を深めているという現実とその処方箋
-
エッセイ『雨のち曇りのち、ハル!』【第12回】春野 真理
ADHDの方の悩み相談:勉強も運動もきちんとできるし、コミュニケーションも問題なく図れるから周りからは単に怠けているだけだとみられてしまう。
-
エッセイ『僕の大学デビュー天下取り物語』【第36回】松本 竹馬
目の当たりにした"大学生"の現実。大学生活は全て自分に捧げたはずだったのに、「僕は……僕は一体何をしていたんだろう。」
-
小説『遥かな幻想曲』【第17回】尾島 聡
今日妻が入院する――病院までエアコンの送風音だけが車内を満たす二人だけのドライブ
-
小説『毎度、天国飯店です』【第12回】竹村 和貢
「“みずいろ”学級の先生からお話がありました」と話し始める担任。小学校6年生の秋…思い出すと、酔いが引いていった
-
小説『犬の三楽斎』【第17回】上泉 護
今までうなり声など上げた事がない犬が、戸を睨みつけている。誰かいるのか…? よもやあの牢人が俺を討ちに来たのか? 何故?
-
小説『大王の密使』【第5回】都丸 幸泰
十年前、都の焼け跡で、一人さまよっていた孤児が…大きくなったものだ。師に逆らい「いやです。私も行く。先生と一緒に」と…
-
小説『伊豆の御社』【第5回】ほそや まこと
―こんなつもりではなかった。育ち上がった木の処分を植木屋に頼んだら無残にも…
-
小説『小窓の王』【最終回】原 岳
状況急変。救助用ロープが落石で切れた。「もう、登り返せないですよね? どうするんだよ? どうなっちゃうんだよ…」
-
歴史・地理『誰も知らない本当の『古事記』と日本のかたち』【第5回】田中 善積
蘇我氏の“横暴”? その実態は、血生臭い事件の数々…天皇の暗殺、一族(十人)殺害事件。宿敵物部氏と宮家を滅ぼして…
-
小説『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』【第19回】行久 彬
彼女とは子猫を拾うような出会いだった――真夜中に叫び声のような悲鳴が聞こえてきて…
-
エッセイ『あなただけが消えた世界』【第13回】上島 薫
「それは性被害といえるのか?」…兄の友達にされたこと、10年間隠してきたあの日の出来事を、遂にすべて両親に話した。だが…
-
小説『幸せを呼ぶシンデレラおばさんと王子様[2024年話題作ピックアップ]』【第25回】武 さき
「やり直したい。帰って来たの、あなたの所へ…」夫が抱き合っていた女性は元カノだった。びっくりしていたら、夫と目が合って…
-
評論『ストップthe熟年離婚[人気連載ピックアップ]』【第16回】清水 一郎
日本人の繋がりはなぜ希薄? 欧米の事例から学ぶ、日本人が心身のストレスが軽減して満足感や幸福感を実感するためのヒント
-
エッセイ『還暦の留学生』【第12回】松木 梯
「奥さんを日本に残して息子さんと二人でアメリカへ…奥さんが可哀想じゃないですか」還暦の留学生、面談の質問にどう答える?