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小説
『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』
【第2回】
行久 彬

父は一月のある寒い朝、酒を大量に飲んで漁具の鉛を腹に巻きつけ冷たい海に飛び込み自殺した…

智子は実直で潔癖なところがあり、今までも孝雄の参加した漁協主催の親睦旅行先での下卑た出来事を漁師仲間たちが面白そうに話すのを聞く度に嫌な思いをしていた。そんな話に慣れることはなく、むしろ話を聞く度に智子は夫に対する不信と不愉快さを心の中に蓄積させていったのだった。「あの男ならさもあらん」智子はそう思い、主婦から聞いた町の噂に疑いを持つことはなかった。噂が耳に届いた日、智子は待ち兼ねたように漁から…

人気小説連載記事

小説
『逆境』
【第3回】
NIKO.F

出所メシは、ケンタッキーと決めていた。大きなパーティーBOXを注文し、母の新車でむしゃぶりつき、一気食い。

【前回の記事を読む】喧嘩やタバコ、シンナーに窃盗などやりたい放題の学生生活。それでも就職するが、上司にオレンジジュースをかけられ転職を決意。その後同級生の友達の父親に相談し、紹介してもらった高収入の仕事に就いたが、朝が早く重労働の、かなり過酷な仕事だった。ただ、昼頃には終わり、福利厚生もしっかりしており、月収は手取りで30万円を軽く超えていた。勝也と一緒に働いていた人達は酒飲みばかりで、当時勝也…

ランキング

  1. エッセイ
    『振り子の指す方へ[人気連載ピックアップ]』
    【第2回】
    山口 ゆり子
    1位 1

    8年節約で2000万円貯蓄した妻。痛快なほどに家事をこなし、無駄な買い物一つしない。最初はそんな妻を自慢に思っていたものの…

    【前回記事を読む】「私、これが欲しいの」甘ったれの彼女が選んだソファー…そのプレートには、ちょっとした国産車が買えそうな金額が記載されていた。売値が十五万円もするのだ。いくら売り物にならないとはいえ…
  2. 小説
    『愛しき女性たちへ』
    【第5回】
    白金 かおる
    2位 2

    マッチングアプリで出会った男性と初めてのデート。食事が終わったタイミングで「じゃあ行こうか。部屋を取ってある」と言われ…

    仕事のこととか好きな食べ物の話などをしながら食事をし、デザートとコーヒーを飲み終わった頃、「じゃあ行こうか。部屋を取ってある」え?……別に危険な匂いがするわけではないが、初対面で寝るの?「あ、いえ今…
  3. エッセイ
    『振り子の指す方へ』
    【第19回】
    山口 ゆり子
    3位 3

    何故、妹の夫に体を許してしまったのだろう。もう誰のことも好きになれないはずの私は、ただあなたとの日々を想って…

    そう声に出して言いかけて、漠然とした思いがそれを聞くことを躊躇わせた。あの日、気が付くと二人はいつも一緒にいた。あの日、亜希子が『これは面白い!』と思うと、悟もすぐ隣で笑っていた。あの日『う~ん』と…
  4. エッセイ
    『あなただけが消えた世界』
    【第23回】
    上島 薫
    4位 4

    「また明日も来るからね」と、握っていた夫の手を離した…。その日が、最後の日になった。面会を始めて4日目のことだった。

    その期間、もしものことを考えると頭が狂いそうになった。正気を保つことさえままならなかったが、凪人が夏休みに入りそんな状態ではいけないと思った。何より、私が泣いたり不安な顔をしていたら凪人を不安にさせ…
  5. 小説
    『泥の中で咲け[文庫改訂版](人気連載ピックアップ)』
    【第12回】
    松谷 美善
    5位 5

    監禁されているここから絶対に生きて帰りたい…。ある明け方、今だ!と直感し、そっと音を立てないように、立ち上がったところ…

    【前回の記事を読む】マッチングアプリで出会った男に騙され監禁。そこには複数の女性がいて、上の階からは「お願い、殺さないで」と懇願する声が…あたしは液体を飲まされて、しばしば気を失った。そのうちに感覚…

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    【第3回】
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  2. 小説
    『イエスタデイを少しだけ』
    【第3回】
    惣才 翼
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    信じていたし、死ぬまで見守ってほしいと思ってた。昨日のあの電話までは…。馬鹿!弱虫!卑怯者!裏切り者! 大好きだったのに。

    【前回の記事を読む】腹を立てて受話器を伏せてから2日後、彼女から速達が届いた。中には手紙とお札。「初めて会ったのは、小学校五年生の春でした。あの頃は......」中学に入る時、父は家業の呉服屋を継ぐ…
  3. 小説
    『ヒスイ継承』
    【第7回】
    守門 和夫
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    「ヌナカワヒメ」伝説…なぜ、いっしょに暮らしはじめた能登で、姫は逃げてしまったのか? 僕の推理としては…

    【前回の記事を読む】「グループ研究、おもしろそうだからいっしょにやるけど、二つだけ条件があるんだ」と言われ「なに?」とたずねると…ここで、考えがグループ研究のことにもどった。ヒスイについては、前から…
  4. エッセイ
    『最高のセカンドライフは海外転職で』
    【第14回】
    宮永 保文
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    医薬品メーカーから新しい仕事の打診でGMPとGDPに関する研修を受け監査へ。第一回と第二回は不合格。最終となる第三回を迎え…

    【前回の記事を読む】工場には約百六十名のインドネシア人が勤務。日本人は私一人だけで通訳もいない。前工場長はすでに退職していて連絡が取れず…要求された仕様で化粧箱と説明書の概算見積もりを提出したところ…
  5. 小説
    『虹色の魂』
    【第7回】
    青居 蒼空
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    「僕、おねしょしないし、お父さんの言うことも聞くから、お願いだから一緒にいてね」大粒の涙が僕の目から湧き出ると…

    【前回の記事を読む】「お母さんは、もう少ししたら天国に行くんだ」父の言葉に戸惑いながら、冷たい母の手に触れていると突然感電したような衝撃が走り…なっちゃんが頭の下に置いてくれた水枕で、少し楽になった…

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