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小説
『あした会社がなくなっても』
【第9回】
桐生 稔

左遷されたその日に1本の電話——「本部長からです。」その内容は、怒りで受話器を壊しそうになるような…

【前回の記事を読む】入社して2か月で、静岡・富士支店へ左遷。本社に呼び出された理由は――職場の人間関係を壊したことだった。(こんなに近くで富士山を見たのは、人生で初めてだ……)桐谷は富士駅に降り立ち、目の前にそびえる富士山を見て、思わず息を呑んだ。その大きさは想像をはるかに超えている。遠くから見る存在だったはずの富士山が、まるで目の前に突きつけられたように、圧倒的な存在感で立ちはだかっていた。(…

人気小説連載記事

小説
『標本室の男[注目連載ピックアップ]』
【第18回】
均埜 権兵衛

自分は嗤いものになるために、東京に出てきたのだろうか。もう決して人前では本当の姿を晒すまいと心に誓った。

【前回の記事を読む】「天地無用」と書いてあるのに全くおかまいなし。取り扱い注意・水濡れ注意・割れモノ注意等のシールも貼りつけていたが…骸骨はカラカラと笑い出した。その時の姿を思い浮べると、我ながら笑いを禁じ得なかったのだ。そうして校庭を出ると街の方へと向かった。何故そうするのか自分にも解っていなかった。だが通りへ出ると灯火の洪水で目の奥が痛んだ。それを逃れるように近くの喫茶店に潜りこんだ。それは…

ランキング

  1. 小説
    『泥の中で咲け[文庫改訂版](人気連載ピックアップ)』
    【第6回】
    松谷 美善
    1位 1

    母さんが死んだ。葬式はできず、骨壺に入れられて戻ってきた母。父からは「かかったお金はお前が働いて返せ」と請求書を渡され…

    【前回の記事を読む】もう、手の施しようがないと言われた母。離婚した父を頼ったが、面倒臭そうな反応をされ…。そしてたった四日で母さんは死んだ葬式は出せなかった。直葬を行い、母さんは骨壺に入れられて戻っ…
  2. 小説
    『夫 失格[注目連載ピックアップ]』
    【最終回】
    時亘 一肇
    2位 2

    遂に家出を決行。夫が帰るギリギリで娘とペットを連れて何とか車に乗り込んだ。やっとの思い出宿泊先に着くと、夫から大量の着信が…

    【前回記事を読む】夫が2階に上がるたびに走る緊張感。少しずつ、少しずつ、荷物を運び出し、夫から離れる準備を進める…絶対に悟られてはいけない今日家を出る。夫が出勤するのを、いつもよりも遅いと感じながら…
  3. 小説
    『春のピエタ』
    【第2回】
    村田 歩
    3位 3

    「おかあさんが自殺したの!」しばらくの沈黙のあと、いつ、と押し殺した声がした

    達生は優子に、赤ん坊がいるのだからいったん家に帰るように勧めた。優子は素直に従うことにした。兄の劉生に連絡を入れたのかという娘の問いに、達生はまだだと首を振った。「奥が片づいたら連絡を入れるから」あ…
  4. 小説
    『愛され未亡人の、湯けむり恋物語』
    【最終回】
    月川 みのり
    4位 4

    あの時と同じ露天風呂…でもあの時よりもずっと深く、愛しあった。「もう1回だけ」と囁かれ、湯けむりのなか重なりあって…

    【前回記事を読む】潰れかけの旅館を救ったのは、女将の”ある投稿”だった。3万人に見られて「泣きました」の声が殺到…旅館を救った意外なものとは?年が明けた。旅館の前の雪を掻きながら、よし子は白い息を吐…
  5. 小説
    『泥の中で咲け[文庫改訂版](人気連載ピックアップ)』
    【第4回】
    松谷 美善
    5位 5

    ある日突然「お母さんが職場で倒れて救急搬送され、命の危険もある」と電話がかかってきて…

    【前回の記事を読む】修学旅行欠席で返してもらったお金は八万円。その内半分程度である物を買ってもらい…地方都市の公立の小中学校の教師は、みんなの前であからさまに、生徒の家の事情をポロっと口に出し、下手…

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    均埜 権兵衛
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  2. エッセイ
    『Passengers 過ぎ去りし人たちへのレクイエム[人気連載ピックアップ]』
    【第11回】
    桂 真風
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    そっと乱れた毛布を直し、「午後4時38分に亡くなられました」と家族に低い声で告げ、一歩下がって手を合わせ頭を垂れた

    【前回記事を読む】死期が近い患者のドアを開けると、娘さんもいた。彼女は身重だった。かすかな声で「幸せになるんだよ」と聞こえて…静けさと沈黙が部屋に満ちている。聴診をしようとしてかがみ込んだ時、胸ポケ…
  3. 小説
    『丘の上の教室』
    【新連載】
    茶里
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    18時を過ぎても、彼は体育館で1人考え込んでいた――2週間前、校長から「誰も退学させるな」と内密に命令された

    若い男が一人、夕暮れの体育館の真ん中に佇んでいた。時刻は午後六時を過ぎた。まだ夕陽は沈んでおらず、この季節特有の紅緋色(べにひいろ)がかった陽光が体育館の真ん中まで差し込んでいた。入学式を翌日に控え…
  4. エッセイ
    『70歳、トライアスロンデビューしました』
    【新連載】
    小島 洋子
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    70歳でトライアスロンに初挑戦! 水泳ではクロールすらできなかった私を変えたのは、“ある人物”との再会だった……

    私は、ちょっとしたことがきっかけで、遅まきながら70歳でトライアスロンにデビューした。トライアスロンという競技の魅力の沼にズブズブとはまり込み、始めてから2年目の今も夢中になっている女性である。とこ…
  5. 小説
    『愛しき女性たちへ[注目連載ピックアップ]』
    【第2回】
    白金 かおる

    「61歳。既婚。大人の女性とお会い出来れば嬉しいです。」と登録したサイトに、新着メールが届いた。開いてみると…

    【前回の記事を読む】妻との生活に不満は無いが、"何か"が足りなかった… 平凡でも幸せな妻との日常を壊すつもりはなかったのに…その時代は、受験戦争にもまれて少しでもいい学校に入り、大企業に就職するのが…

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