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小説
『春のピエタ』
【第18回】
村田 歩

私の妹は、5年前に殺された。高校二年生だった。自宅のすぐ傍で車の中に引きずり込まれて、河川敷まで連れて行かれ…

「早い時間ならお客さんはいないと思ってたのに、本当にすみません」「ああ、いいのよ。若旦那は特別なの。昼の三時には仕事終わっちゃう人だから。それにわたしのお客じゃないしね」意外に屈託のない話し方であたしに座るように促すと、自分も隣に座り、長い手を伸ばした。「ちょっと、あそこの神林さんのバランタインで一杯作って」バーテンの男性に命令する。こういうお店は経営者の次に偉いのはホステスさんなのだろうか。佳…

人気小説連載記事

小説
『迷いながら揺れ動く女のこころ[人気連載ピックアップ]』
【第7回】
松村 勝正

「主人の体にふれる機会も少ない。私はただの同居人…」新婚生活を友人に打ち明けた

【前回の記事を読む】「誰、どうして」…壁一つ隔てた夫の部屋から、かすかに女性の声が聞こえた夜。美代子は約束の時間、十一時より少し早めに自由が丘駅に着いたので、ロータリーをぐるりと一周してから以前にも覗いたことがある、ブティックのショーウインドウの前に立っていた。今年の秋、冬物のはやりの色は何だろうと、マネキンが着ているワンピースに目が留まった。“今年もブドウ色か”と独り言を言いながら、丁度二年前…

ランキング

  1. エッセイ
    『迷子 うつと離婚と私』
    【第11回】
    野沢 りん
    1位 1

    救急車で運ばれた夫。間違えて開けた携帯には…「会いたい、愛している」

    遠くからお見舞いの人は少ない。お見舞いの人がくると羨ましい。患者は嬉しいのか恥ずかしいのか誇らしいのか赤くなる。ホールの隅のテーブルで手提げ袋を受け取る。私たちは遠くから見るともなく見る。でも気にな…
  2. 小説
    『迷いながら揺れ動く女のこころ[人気連載ピックアップ]』
    【新連載】
    松村 勝正
    2位 2

    三人で夕食のテーブルを囲んでいた。夫、妻、そして――。彼が彼女に「美味しいね」と言って、普段殺風景な屋敷に珍しく会話が…

    三人で夕食のテーブルを囲んでいた時、悠真が明るい表情で「今日の煮魚は美味しいね」と美月の方に目線をやりながら言った。それまで黙々と箸を動かしていた美代子も「本当に美味しいわ、美月さん何というお魚です…
  3. エッセイ
    『遠い夢の向こうのママ[人気連載ピックアップ]』
    【第20回】
    かおる
    3位 3

    DV被害に衝動ODで入院。脳細胞の一部が死滅したらしく、言い返す気力も、考える力も、言い訳する思考力も、どこにもなかった。

    【前回の記事を読む】今までで一番ひどく殴られ蹴られ、髪の毛を持って家中引きずり回された日、発作的にアレルギーの薬を一瓶全部飲んでしまい…診察中、ちょっとしたハプニングがあった。診察室で(夫は入れない…
  4. 小説
    『標本室の男』
    【第48回】
    均埜 権兵衛
    4位 4

    「お前、ちょっと匂うぞ、この前いつ入ったんだ?」そう言って浴室に向かわせ、そっと覗きこんだ。そこに見えたのは…

    【前回の記事を読む】どこへ行っても、誰と出会っても、驚かせ、怖がらせ、嫌悪させてしまう。異形のものは人の中へ入るのは赦されないのだろうか。その夜客は連泊している伊藤医師だけだった。源造は彼に出す料理…
  5. エッセイ
    『夢の小箱をアナタに』
    【第6回】
    下村 みゆき
    5位 5

    息子の元同級生の母親が、急に家に来て「言いにくいんだけど、お金貸して欲しい」。数分前スーパーで偶然会っただけなのに…

    【前回の記事を読む】「アナタは依存コードを結ばれやすい方なんですよ。だから色んな方が色んな問題を抱えてやって来る」と言われたことがあり…1人目は次男の中学校時代の同級生N君のお母さん。スーパーでお買…

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    【第7回】
    松村 勝正

    「主人の体にふれる機会も少ない。私はただの同居人…」新婚生活を友人に打ち明けた

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  2. 小説
    『ツワブキの咲く場所』
    【第10回】
    雨宮 福一

    男たちの群れの中、無抵抗に、人形のように揺られる少女の脚を見ていた。あの日救えなかった彼女と妹を同一視するように…

    【前回の記事を読む】久しぶりに書いた妹の名前。できない気持ちの塊が音や匂いを引き連れて、こちらへ近づいてくるような気配さえした。鉛筆が手を離れ、かたんと音を立てて床に落ちる。ハッと我に返り、目を見開…
  3. 小説
    『師匠と弟子のワンダーランド』
    【第5回】
    儀賀 保秀

    若手が俺の様子を慎重に窺っている。様子が変だ。そう思っているに違いない。大正解! 実際、様子は変だった。挙動不審。

    【前回記事を読む】昨日はイケメン、今日はオッサン!「惚れました」と言われてもなあ…二日連続「弟子にしていただけませんか?」と迫られている今回は、ちょっと真面目に落語について考えてみます。先人の方々も…
  4. 小説
    『拝啓、母さん父さん[注目連載ピックアップ]』
    【第8回】
    三上 ミカン

    学校でも家でも布団の中でも携帯を片時も離さず「モバゲー」する私。モバゲー内のサークル活動で頻繁にやり取りする男性ができ…

    【前回の記事を読む】「お母さん!」と声を出そうとするものの出てこない。真っ白な顔の長い黒髪の女が私の胸の上に佇んで顔を覗き込んでいた兄は東京の大学へ進学し、先に家を出た。父がいなくなってから兄とは喧…
  5. 小説
    『しまなみ海道に消えたミス』
    【最終回】
    風向 良雄

    抵抗しても男は容赦しなかった。無理にドアを開けられて、引きずりおろされ…「ほおお…いい女やで」

    【前回の記事を読む】ドライブは初めてのふたり。ただ風景を見る旅ではない。ある男性に逢うという目的がある。「ひと夏の恋心なの」「恋心、恋ねえ…」つなぎの作業服を着ているが、まちがいはない。あの日あのと…

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