小説 『灰色の風が吹く』 【第8回】 成澤 良喜 「あなたの子を妊娠しました」若い女性と一度だけ関係を持った70代の男。喫茶店で彼女の兄と弁護士に囲まれ…… 【前回の記事を読む】「妊娠したことにするのです」妹を使って老人から1億円を奪おうとする男の計画とは……?懐は暖かくなったし、浮き浮きするような気分も湧いてきた。結城はこれまでの生活とおさらばしたいと本気で思い始めていた。臙脂色のテーブルと椅子を備えた小綺麗な雰囲気の喫茶店だった。店内を見回すと、テーブル席が二十席ほどあったが、二人連れの客が三組いるだけだった。結城と間下は向かい合って座り、左手奥…
小説 『愛され未亡人の、湯けむり恋物語』 【番外編3 第3回】 月川 みのり 我慢できず夫に切り出した。「あとをつけたの。あなたが毎朝通っている場所、知ってる」泣き崩れる私に、夫が近寄ってきて… 【前回記事を読む】着物と一緒に大事そうに仕舞われていた写真…映っていたのは、まだ若い夫と美しい女性。そして2人の間に幼い男の子が…真由美の命日の夜は、いつもよりずっと静かだった。夕食の後、二人きりになった離れで、よし子は長いあいだ迷った末に、とうとう、こらえきれずに口を開いた。「雅彦さん。私……ずっと、聞けなかったことがあるの。雅彦さんが毎朝、真由美さんのお墓に通っていること、知っていました。あ…