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小説
『お嬢様の崩壊』
【第6回】
いけだ えいこ

ある日仕事帰りに夫が倒れて救急車で運ばれたと勤務する銀行から電話が!吐きそうになるのをこらえながら…

「いらっしゃいませ」と思い切って声を出すと、先輩社員の治子から「だめよ」と怒られる。「もっと声を張らないと聞こえないわよ」と何度も注意された。徐々に慣れてきたがスムーズに接客ができるようになるまで何週間もかかった。治子は感じの悪い女性だった。しずかより十歳以上年下なのに、まるで赤ちゃんをあやすように、仕事を教えようとする。その慇懃無礼(いんぎんぶれい)な態度が腹立たしかった。自分のほうがいろいろ…

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小説
『ザ・総選挙[注目記事ピックアップ]』
【新連載】
利根川 尊徳

私達ならではのお仕置きを企ててみたのですが......新党を立ち上げ、政権ジャックを目指す。

「武藤さん、この数字は何かな?……」と資料に目を落とした山脇が訊ねると、「ああ、二八という数字ですか? それは我々がこの国のシンクタンクとして、政府に提言した件に対して、曲がりなりにも何等かの検討らしき事が行われた数字で、八〇八という数字は我々が魂を込めて行った提言をダイレクトメールを開封さえしないで、恰もごみ箱に捨てる様に扱われた提言の数です」と武藤亜希子が苦々しげに答えてみせた。「この国の政…

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    「もうあなたを愛せない!」別れを切り出した夜、主人は何も言わず私のベッドに入ってきて...

    「明日から行くから」と。私は無視して二階に上がった。主人がシャワーから上がって寝室に入ってきた。主人に背を向け寝ているふり、主人が私のベッドに入って来た。「何!」大声で言い放った。主人は何も言わず私…
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    坂本 りの
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    治療で言葉がうまく出てこない夫。彼が今どう思っているのかを知りたくて…

    一回目の再発が九月、サイバーナイフ治療で、再発した腫瘍部分が消えたものの、退院して一度は元気になった彼も、今思うと十二月頃から次第に元気も無くなり、あまりもう生きられないという事を意識していた様に思…
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    【第8回】
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    この人二重人格なんです「会社に行かないで!」結婚してから一年以上経過し、妊娠五か月だった私は、この状況を脱しなければと、夫に詰め寄った。「会社に行かなきゃいけないんだ」なぜか会社に行くことに執着する…
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    『赤い大河』
    【新連載】
    塚本 正巳
    4位 4

    カプセルホテルで産まれた命。泣き声を止めようと、その喉に…。

    ようやく頭部が外に出たのだろう。遠退いていた意識を必死にたぐり寄せた爽香(さわか)は、瞼をゆっくりと押し上げた。脂汗が目に入って鋭く沁みる。大量の汗で冷たく湿った首回りが、真夏の気だるい寝起きを思わ…
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    『幸せを呼ぶシンデレラおばさんと王子様[人気連載ピックアップ]』
    【新連載】
    武 さき
    5位 5

    ホテルの出口から見知らぬ女と一緒に出てくる夫を目撃してしまう。悔しさがこみ上げる。許せない。裏切られた。離婚しよう。

    「ねぇ、すみません。カフェオレのお代わり下さい」今、ドーナツ屋さんで大好きなホットカフェオレを飲みながら主人との生活や子供達そして三週間前の事を思い返している。あの時、あの時間にあそこを通らなければ…

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    農業では無理だといわれる休日を設定!月二回の定休日は両親とは「お互いに干渉しない日」

    私には、農業がなぜ嫌われるのか、その理由がよくわかる。彼と知り合う前の自分がそうであったからだ。まず、休日がないということである。働いても働かなくても、とにかく畑に出ていれば仕事をしていることになる…
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    利根川 尊徳
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    玉木 和彦
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    会話に少し自信がついた。発想力も良くなった。少し賢くもなったかな。「ワクワク感」を見出すことができれば、シニアライフは…

    ワクワク感。世の中全体が「イライラ」しているせいか、最近よく聞く言葉である。オンライン辞書サイトによると、「ワクワク感」とは「高ぶっている感情」のことであり、類語・類義語・言い換え・同義語には「高揚…
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    『逆境のトリセツ[パラリンピック特集]』
    【第16回】
    谷口 正典,益村 泉月珠

    「温かいね。このチームで本当に良かったね」涙目で夫に話した。高次脳機能障害を打ち明けると、仲間から送られてくるメッセージ

    考えて即座に判断することも難しく、これらサッカーで必要な能力は、身体が覚えるまでがんばるしかないね、と話をしました。前回の練習では、実戦的なパターン練習がとてもためになったと嬉しそうに話していたこと…
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    『商業施設士が見た東日本大震災』
    【第5回】
    飯塚 康司

    私が商業施設士になるまで 職人の父のそばで幼いころから木箱やうさぎ小屋、竹細工の編みかごなどを作っていた。

    ここまでは商業施設士に関するフォーマルな情報をお伝えしたが、本項目では私がどのような経緯で商業施設士になったのかという個人的なエピソードをお伝えしたい。兼業農家を営む父はものづくりの職人でもあった。…

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