小説 『あした会社がなくなっても』 【第9回】 桐生 稔 左遷されたその日に1本の電話——「本部長からです。」その内容は、怒りで受話器を壊しそうになるような… 【前回の記事を読む】入社して2か月で、静岡・富士支店へ左遷。本社に呼び出された理由は――職場の人間関係を壊したことだった。(こんなに近くで富士山を見たのは、人生で初めてだ……)桐谷は富士駅に降り立ち、目の前にそびえる富士山を見て、思わず息を呑んだ。その大きさは想像をはるかに超えている。遠くから見る存在だったはずの富士山が、まるで目の前に突きつけられたように、圧倒的な存在感で立ちはだかっていた。(…
小説 『新事記』 【第8回】 吉開 輝隆 地球の誕生は46億年前といわれているが、天地の創成は、そのような数字でいいあらわせるものではなく… 【前回の記事を読む】天上では、転生せず根源の国にとどまる神々と、転生のある伊弉諾の国に移る神々が選び分けられているまたまた、一瞬の光が走った。「あなにやし! 餘が、いますところ(天地生成)へまいれ」素の神は、今では、誰の案内もいらず、どこでも、訪れることができる。あめのとこたちの神の霊力による、神足と神智の賜物(たまもの)である。一瞬の光の元は、天上の根源のところ、すなわち、あめのとこたちの神の…