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小説
『お嬢様の崩壊』
【新連載】
いけだ えいこ

銀行員の夫は給料五十万円のうち生活費を八万円しか渡してくれずついに…

しずかは、自分がお嬢様だと思ったことはなかった。でも、最近になってやっぱり自分は周りと少し違うのかもしれないと感じていた。子どものころ住んでいた都内の家には部屋が十四ぐらいあったし、門から玄関までのスロープには車が三台くらい停まっていて、玄関ホールには大きな銅像が立っていた。習っていたピアノは日比谷でクリニックを開業している祖父の書斎に置いてあり、そこには仏像が立っていて、ピアノの練習をするとき…

人気小説連載記事

小説
『鶸色のすみか』
【第14回】
野原 ルイ

今、思い返してみると、月子姉ちゃんはおかあさんに一番かわいがられていたよね

妹が自嘲気味に笑う。「くしゃみで済めばいいじゃない。こうして姉妹仲良く本音を言い合えるほど仲がいいんだから母も喜んでるって。あんたは末っ子だから被害少なかったよね」「お姉ちゃんたちを見て学習したのよ。親が進めるレールに乗っとけば大丈夫かなってね。タンジュンにね」「そりゃあ、悪かったね。私らの素行が悪かったから」「でも、お母さんの反対を押し切って結婚した大きい姉ちゃんが一番幸せになってる」姉夫婦が…

ランキング

  1. エッセイ
    『朝陽を待ちわびて』
    【第6回】
    桜木 光一
    1位 1

    「なぜ投身前に見つけてあげられなかったのか?」自問自答は果てしなく続き、何度も悔やんだ

    昨日は回復基調だったが、鎮痛剤が効かなくなった。頭蓋骨周辺の痛みも激しく重なり、昨夜は眠れない夜を過ごした。睡眠不足で妻は衰弱。精神的にも弱り「一生治らないよね」とつぶやきながら妻は泣いた。視覚の乱…
  2. 小説
    『泥の中で咲け[文庫改訂版]』
    【第11回】
    松谷 美善
    2位 2

    マッチングアプリで出会った男に騙され監禁。そこには複数の女性がいて、上の階からは「お願い、殺さないで」と懇願する声が…

    強い恐怖を感じながらも、あたしは言った。「あたしトイレに行きたいの。それに家に帰りたいわ」男はあたしの頬を一発張った。「逃げられると思うんじゃない。おまえにはいろいろ役に立ってもらわなきゃなんねえん…
  3. 小説
    『店長はどこだ[人気連載ピックアップ]』
    【第6回】
    八十島 コト
    3位 3

    突然死した妻の相手は誰だった?...自分の不倫はさておき、弔問客の中からやましい男を探し出す。

    アルバムを順番に見ていくと、一番新しい物でも、去年の四月二十八日だった。友だちの伊藤千絵と青森の弘前に桜を見に行った時の情景だった。写真はそれで終了しており、次のページ以降にはまだ収容するスペースが…
  4. 小説
    『お嬢様の崩壊』
    【第2回】
    いけだ えいこ
    4位 4

    四十歳を過ぎてもマイホームも持たない団地妻になっているとは思わなかった…想像していたのは左ハンドルの高級車に乗って名門小学校に子供を送り迎えしている自分だった

    まさか自分が四十歳を過ぎてもマイホームも持たない団地妻になっているとは、若いころには想像もしていなかった。学生時代に教習所に通って車の免許を取ったときに想像していたのは、左ハンドルの高級車に乗って名…
  5. エッセイ
    『朝陽を待ちわびて』
    【第5回】
    桜木 光一
    5位 5

    「死んではならぬ」10分おきに心拍数の異常を示すモニターの警報が鳴り続けた…

    昨夜は医療用麻薬を投与し、鎮痛剤を服用し続けた。麻薬をもってしても効かず、妻は朝まで痛みと闘った。その後、力尽き睡眠に入った。今日は様々な看護師が部屋に出入りした。全ての方々のネームプレートを見ては…

新着記事

  1. エッセイ
    『孤高の歩み—虚無から創造精神へ—』
    【新連載】
    梅崎 幸吉
    New

    二十六歳の時に霊的認識による純粋思考体験となる強烈な神秘体験を経験

    古今を問わず真の自己認識とは厳しいことであるが、我々の誰もが各自の方法で探求を成していく。真摯に自己探求を突き詰めていくと精神世界へと至る。私は二十六歳の時に強烈な神秘体験をした。霊界に自然参入した…
  2. 小説
    『鶸色のすみか』
    【第14回】
    野原 ルイ

    今、思い返してみると、月子姉ちゃんはおかあさんに一番かわいがられていたよね

    妹が自嘲気味に笑う。「くしゃみで済めばいいじゃない。こうして姉妹仲良く本音を言い合えるほど仲がいいんだから母も喜んでるって。あんたは末っ子だから被害少なかったよね」「お姉ちゃんたちを見て学習したのよ…
  3. 小説
    『泥の中で咲け[文庫改訂版]』
    【第18回】
    松谷 美善

    若い男に三千万円を騙し取られ、ぼけたと思われた私は施設に入れられた。何か月も経ったが、誰一人面会に来ることはなく…

    子どもの監視の目を盗んで、私は警察に嘆願書を書いた。彼に騙されたほかの高齢者からも、同様の署名が集まっていると聞いたからだ。坂本曜のやったことは悪いことだけど、あの子は心の底から悪い人間ではない。こ…
  4. エッセイ
    『雨のち曇りのち、ハル!』
    【第9回】
    春野 真理

    英語が全くできないのに、英会話スクールの校長としての任務がはじまった。

    「子どもたちとその親御さんたちみんなに人気だった【ハルトラマン】。これからもっともっと羽ばたいてください」そんなふうに書いてくださった先生方もいらっしゃった。ウルトラマンを改造して作られたわたしのオ…
  5. 小説
    『遥かな幻想曲』
    【第14回】
    尾島 聡

    「私、肺がんかもしれないって」その日一日を、会社でどう乗り切ったのか。それについての記憶は全くない。

    宮田さん、答えられないかもしれない、と廉が思った瞬間、「あ~、前の持ち主さんですか。この方、もっともっと音を鳴らしたいとおっしゃって一七〇〇万円のフルコンサートグランドに買い替えられたんですよ。お部…

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