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小説
『恋愛配達』
【第15回】
氷満 圭一郎

配達票にサインすると、彼女は思案するように僕の顔を見つめ「じゃあ寄ってく?」と…

「本業は酒屋で、宅配便はバイトです。ところでさ」ぼくはたまらず差し挟まずにはいられない。「さっきからなんなの、どっち、どっちって?」「だってあなた、ドッチ君だもん」「何、ドッチ君て?」すると瞳子さんは、ぼくの胸に付いている名札を指差した。これは配達者が何者であるのか知らせるために、運送会社から貸与されているものだ。ぼくの名前は以前病室で宴会を開いた時に教えていたはずだが、漢字までは教えていない。…

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小説
『巨大鯨の水飛沫 』
【第2回】
喜田村 星澄

おばあちゃんがシロナガスクジラはいつ帰ってくるのかとしきりに聞いてきて…

「お母さん、お世話になります」お父さんがおばあちゃんに喋りかけた。何やら大人たちが喋り始めたとき、私は懐かしく部屋を見てまわる。そうしたら、そこに雑誌の切り抜きと思われる鯨の写真が、その雑さや粗さのままに貼られているのを見つけた。お母さんの声がふと耳に入る。「かあさん、この鯨は?」(鯨?)おばあちゃんに鯨なんて、全く縁がないように思う。おじいちゃんが漁師だったわけではない。建築関係に勤めていたと…

ランキング

  1. 評論
    『深淵なる地球創造とハイブリッドな人々』
    【最終回】
    早川 敏行
    1位 1

    宇宙で初めて生命を生み出した惑星「リラ星」とは?…地球人誕生までの驚きの歴史

    【前回の記事を読む】クロマニヨン人は二代目地球人!? 惑星繁栄の知られざる経緯こういったルマニア文明の崩壊の後、再びシリウス人、オリオン人、アルデバラン人、ケンタウルス人、プレアデス人などがやって来…
  2. 小説
    『氷上の蠟燭』
    【第8回】
    安達 信
    2位 2

    「イタ、イタタタタ……。先生、痛くて仕方ありません」と激痛をこらえながら…

    瑠璃は二人の話が聞こえない振りをして、「なんか二人で、楽しそうにどうしたの……。晩ご飯の用意できたから、食べましょう」と誘った。食卓には、かき揚げ、天麩羅に加え、かまぼこ、バイ貝の煮つけ、イカの黒作…
  3. エッセイ
    『模索の扉』
    【第5回】
    ななつまこ
    3位 3

    「髪の毛が抜けるねん」小学生の娘が脱毛症になり、皮膚科に行ったが…

    三ノ二 手術とその後妹は仕事にも一生懸命で、遅く帰るとわかっている日は、私も実家へ行っていました。妹は休みの日も活動を広げていき、親子で短いマラソン大会にも参加していました。がん克服のイベントだった…
  4. 小説
    『飛燕日記』
    【第14回】
    春乃 夜永
    4位 4

    待ちあわせ場所に現れたのは送られてきた写真とは違う容姿の男性で…

    シャワーを浴びて化粧をした。ファンデーションを肌に塗り、唇を赤くする。鏡の中の自分は食品サンプルのようだった。鮮やかに、立体的に自分を盛って、人の食欲を煽ろうとしている。身体のフォルムがやわらかく見…
  5. 小説
    『いつか海の見える街へ』
    【第12回】
    須賀 渚
    5位 5

    想定外の告白に頭が混乱…「ねえ、もう一回して」とねだられ…

    よし子は裸の孝介の胸を、背中を、腰を、いとしむように撫でた。腹から撫で下ろし、固くなっているのを確かめるように、両手でそっと包んだ。繊細な指遣いが、孝介の先端を痛くなるほどに刺激する。 孝介のうめき…

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    『あわら温泉物語』
    【新連載】
    笹岡 一彦
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    地震や大火から不死鳥のように蘇った「あわら温泉」温泉街の発展に若手経営者が声を上げる!

    人は悲しい時には青が見えなくなり、青空も灰色に見えるという。だが、この日の晴れ上がった空は悲しすぎるくらい青かった。乾燥した空気の中、旅館の屋根から白い煙が上がり始めると、あちこちからパチパチという…
  3. 小説
    『ヒスイ継承』
    【新連載】
    守門 和夫
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    発明好きなおじいちゃん。いつも失敗してるけど今回はなにやらいつもとは違っていて…!?

    秋が深まり、イチョウの葉が輝くような黄色になった、ある土曜日の朝のことだ。川越市のカルガモ小学校三年生の星野波奈(ほしのはな)は、電話の呼び出し音で目が覚めた。時計を見ると、まだ六時になっていない。…
  4. 実用
    『開運ハウスのつくり方』
    【第5回】
    はこしま 李風

    風水師でなくても簡単にできる「運気が上がる住まいの4つのポイント」とは

    陰宅風水とは、陰者の家=お墓を造るための風水です。風水的に良い土地にお墓を造り、死者を埋葬することで子孫繁栄に効果があるという教えです。ただし亡くなった方を土葬しなければ効果がないため、火葬を行う現…
  5. エッセイ
    『時をつむいで』
    【第9回】
    中村 良江

    ほろ酔いで上機嫌な父と私と弟で行った夏祭り。何でも買ってもらえると喜んでいると…

    赤痢や疫痢のうわさが、あちこちで聞かれたころの事、父や母の心配は一通りではなかったのだろう。以後、勝手にアイスクリームを食べる事は、固く禁じられてしまった。アイスクリーム事件があってから、何年か経っ…

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