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小説
『お嬢様の崩壊』
【新連載】
いけだ えいこ

銀行員の夫は給料五十万円のうち生活費を八万円しか渡してくれずついに…

しずかは、自分がお嬢様だと思ったことはなかった。でも、最近になってやっぱり自分は周りと少し違うのかもしれないと感じていた。子どものころ住んでいた都内の家には部屋が十四ぐらいあったし、門から玄関までのスロープには車が三台くらい停まっていて、玄関ホールには大きな銅像が立っていた。習っていたピアノは日比谷でクリニックを開業している祖父の書斎に置いてあり、そこには仏像が立っていて、ピアノの練習をするとき…

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小説
『奥会津の人魚姫』
【第19回】
西田 理酉

確証のない仮説に悩むばかり…別れ際にうつむく優しい少女が他人を陥れるのだろうか

「そうですね…………。ただ、もともとどちらの指紋が乙音さんか汐里さんか、最初の出だしからわからないのでは?」田辺の返事は、責任回避の煮え切らないもののようにも聞こえるが、よく考えれば確かにそれにも一理あった。乙音も汐里も自分の部屋を持っていたから、そこから指紋を採取して、今の乙音の指紋と照合する方法も考えられたが、乙音と汐里の関係性を考えれば、おそらくどちらの部屋からも、二人の指紋は数多く検出さ…

ランキング

  1. エッセイ
    『振り子の指す方へ』
    【第17回】
    山口 ゆり子
    1位 1

    あの日、同じように妻を抱きしめていたのなら…。泣いている義姉をソファーに横たえ、そして…

    静かに抱きしめ返してくる亜希子の背中をさすりながら、春彦は郁子とよく似た亜希子の温かさが二年の間にうらぶれた心をほぐしていくのを感じていた。あの日、同じように郁子を抱きしめられていたのなら、という思…
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    『お嬢様の崩壊』
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    いけだ えいこ
    2位 2

    病院の血液検査で入院が必要なレベルの極度の貧血と言われて帰った私に「お昼は何?」と聞く夫

    翌朝、混んだ地下鉄に乗ってつり革につかまり窓を見ると、疲れ果てた中年女が映っていた。誰だろう? 自分ではないか。目の下のクマが影を作って醜かった。もうすぐ新宿に着くころ、足元がすうっと抜けるような感…
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    『318号室の扉』
    【第2回】
    戸嶋 次介
    3位 3

    遅れて中学受験の勉強を始めたが、変わらない成績…先生に相談すると、「大丈夫」

    話は戻る。遠藤先生は僕の話を聞くと、開口一番、「いや大丈夫だ、まだ可能性は充分にある。作戦は先生が考えてあとで伝えよう。本気で頑張るなら、絶対受からせてやる。一緒に頑張ろう」と、想定外の答えが返って…
  4. エッセイ
    『医療者のことばの持つ力』
    【第5回】
    田中 順也
    4位 4

    何度も何度もお願いをしても首を縦に振ってくれなかった母。その理由は…

    母親は料理する手を一切止めずに、「そんなん、アカンに決まっているやろ」と僕の方を振り向きもせずに言った。「リトルリーグって野球のことやで」とリトルリーグの意味を母親が知らないんだと思い説明をした。で…
  5. エッセイ
    『運命に寄り添う、そして生きる』
    【第2回】
    輪月 舟
    5位 5

    我が子を虐待してしまった母親の悲痛な境遇。看護学生が助産師を志した理由とは

    【前回の記事を読む】「子どもが苦手だった」看護学生の価値観を大きく変えたのは…1.母となり、子の愛を知る被虐待児と母親の悲しみを知る小児科の看護師になる! と決め、卒業実習で小児看護を選択し、再び小…

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    私ははり師・きゅう師資格を取ってから九年間患者さまと向き合ってきました。その臨床経験を経て思うのが、そもそも大人になってから走って転んで痛くなって…… というように、外傷が原因となって痛みが出る方は…
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    走行距離 109.2km/STAGE累計距離 768.0km/総累計距離(38日目)3739.77km天候も回復し、今朝は昨日より1時間早く起きてスタートするが、1・5km付近でボトルをホテルへ忘れ…
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    『奥会津の人魚姫』
    【第19回】
    西田 理酉

    確証のない仮説に悩むばかり…別れ際にうつむく優しい少女が他人を陥れるのだろうか

    「そうですね…………。ただ、もともとどちらの指紋が乙音さんか汐里さんか、最初の出だしからわからないのでは?」田辺の返事は、責任回避の煮え切らないもののようにも聞こえるが、よく考えれば確かにそれにも一…
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    『お嬢様の崩壊』
    【第8回】
    いけだ えいこ

    家の中には子どもや夫の笑顔がなかった…いつも笑っている彼の歌う姿だけが固まった心をほぐしてくれた

    給料が出ると、初めてポータブルオーディオプレーヤーを買った。彼の曲を全部知りたくて、今までのCDもレンタルショップで借りてきてオーディオ機器に入れた。通勤の地下鉄の中でも、今までは暗い気分で乗ってい…
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    『羊を食べ尽くした男 中国仏教衰微の日』
    【第18回】
    山亀 春久

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    これが世に言う進士派閥牛党と貴族派閥李党の官吏による勢力争い、 牛李の党争である。成徳の戦から戻った李徳裕は、人目に付かぬよう秋蟬を長安の別邸に留め置き、世話をするのも限られた用人だけ、外部との接触…

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