【第三章】
3 人工腰椎挿入手術
■2021年11月6日
昨夜から痛みとしびれの抑制の薬を強めに処方して頂き、夜中は3時間の睡眠を確保させてあげた。痛みの根源が脊髄か骨盤なのか、判断はまだできないと医師から説明を受けた。
痛みの沈静化ができれば、布団の上で座る訓練をさせることができるかもしれない。
一縷の望みは簡単には叶わなかった。
4 全身激痛と高熱との闘い
■2021年11月7日
昨夜20時30分、妻は頭部激痛と高熱に襲われ白目をむいた。声も男性のように太くなり、ベッドに爪を立てひっかいた。まるでオカルト映画。介護の恐怖の実体はこれかと納得した。
看護師から指導を受けた通り、頭部は冷却剤で冷やし、肌着を脱がせ、扇子であおぎ続けた。その後2時間毎にお通じが発生し、多忙を極める看護師にも支援頂いた。この流れを繰り返しているうちに、希望の朝陽が顔を見せてくれた。
看護師から学んだ。
「奥さんは、事故の2週間前から死を選択して飲食を回避していたため、胃や腸の動きは止まっていた。そこに落下の衝撃が加わった。痛みは身体の内外から発生する。今は身体の中を循環させ続け、安定させなければいけない。ある意味予想通りだから、何も心配いらないですよ」
私の心をも助けてくれる言葉が嬉しくて、嬉しくて。
翌朝妻に、昨夜もがいていたが、何か異変があったか覚えているか聞いた。