【第三章】
4 全身激痛と高熱との闘い
■2021年11月11日
「社長、昨日はお見舞いをありがとうございました。会社全員の色紙のコメントを拝読させて頂きました。本来は一人一人に連絡してお礼を申し上げたいところです。ありがとうございました」
■2021年11月12日
昨夜も腹痛と左脚の痛みが交互に妻を襲い、妻は一時気を失った。一方で隣室の方も痛みによる叫び声が日に日に激しくなり、死の縁からの悲鳴は夜通し壁を突き抜けた。
妻はその音で覚醒し、自身の痛みを再認識し改めて痛みと闘った。静かに苦しむ妻が不憫で仕方なく、汗をぬぐい励ました。涙が止まらない。この繰り返しで朝陽が昇った。
若き看護師はコロナ禍、家庭を犠牲にしつつ24時間闘っている。
看護師は自身が倒れぬように、万が一患者に軽度のことで呼ばれても自らの食事と交代時間を原則守る。絶対に看護師は倒れてはいけない。
患者の命を守り続けるプロとしての強い信念を感じた。座る訓練が始まる予定日は来週水曜。残すは5日。今夜も頑張ろう。
■2021年11月13日
整形外科の入院患者は、通常は1カ月で退院する。本日土曜はお迎えの方を受け入れる日。一方で、手術しても痛みから抜け出せない妻は、自宅に帰れる訳がなく、私に迷惑をかけていると焦り朝から泣いた。
「何も心配しなくてよいので、看護師さんやリハビリの先生の支援を受けながら、ゆっくり回復させよう」と励ました。
5 血栓との闘い
■2021年11月14日
昨夜は左脚、夜明けからは左腹の痛みで12時間痛みと闘った。両脚には圧縮機が24時間装着され、痛みはふくらはぎからも襲ってきた。万が一ふくらはぎ内で血栓が発生し、心臓に飛ぶと心停止する。これが最大のリスク。