【前回の記事を読む】「今日を無事、消化することができた」――マイルールの中でしか生きられない私。しかしその価値観はどこか周りとズレていて…

消化する女

米ちゃんとは、多いときで週に一度、少なくとも月に一度は会う間柄の友人で、お互いをソウルメイトと呼び合っている。

かつては先輩・後輩という少々堅苦しい仲だった。私たちはローカルテレビ局で働いていて、私はアナウンサー兼記者で、彼女は生粋の記者だった。

常に人目にさらされながらも記者の仕事を兼任し、ぼろ雑巾のようになりながら見た目も中身もごまかしていた私と、記者という肩書のみに縛られ、そのせいで日々の警察回りや二十四時間無制限で働くことを課されていた彼女。

私たちは苦しさを分け合い、毒を吐き合うことでなんとか生きながらえ、そして互いを鏡のようにして転職活動へときれいに移行した。

見つけた次の居場所は、それぞれ異なる世界だった。そうして現在の純粋な友人関係へと発展を遂げたのだった。

「遅くなりました」

笑いながら現れた米ちゃんは、シースルーのいかにも流行っぽい服を着ていた。むき出しのパソコンを手に、小さくて何も入りそうにない鞄を持って現れ、荷物を置いてすぐにカウンターへ向かう。

いつも通りブラック珈琲と大量のペーパータオルをお盆に乗せて、戻ってきた。少しふっくらしただろうか。

以前は「あの糞みたいな会社を辞めてやったからには何が何でも痩せます」と言い、ライフワークバランスを死守してやるだとか美を追い求めることに妥協しないだとか宣言していたが、どうやら今はもう違うらしい。