(俺の右手!)まっ先に確認したが、それはもうなかった。ただ手首には止血処理がしてあり、包帯が巻かれている。辺りを見回すと、自分の右手首を斬り捨てた侍が座っていた。「あんたか」ふん、やっぱ斬れなかったんだな。今どきの侍はみんなそうだ。助けられたことに感謝する気は毛頭なく、蔑むように鼻で笑った。意義は黙って巾着を逆さにする。少年の懐中にしのばせてあったものだ。中から数枚の小判と二朱銀が落ちて床に転が…
コンテスト特別賞受賞作品の記事一覧
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エッセイ『「彼」とのこと』【第4回】岡林 由希子
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エッセイ『「彼」とのこと』【第3回】岡林 由希子
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エッセイ『「彼」とのこと』【第2回】岡林 由希子
愛犬との騒がしいけれど愛しい日々。それは、永遠に続くかと思われた幸福だった… 。九年目の夏、彼は体調を崩した。
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エッセイ『「彼」とのこと』【新連載】岡林 由希子
血統書付きの血筋をもつ「彼」に心臓をブチ抜かれ、恋に落ち、夢中になった私