【前回の記事を読む】1回3万5千円の司会の仕事は"暇つぶし"。後輩には「高いお金出して、幸せです~ってアピールして、馬鹿みたい」と話し…

合意

「では新案件のBOYは、可能な限り近い日程で引き合わせるので、OK?」

冗談っぽく話をまとめた。

「もちろんです! お待ちしています!!」

米ちゃんは張り切っている。私も、これでまた息ができそうだ。

三つ子の魂百まで

「三つ子の魂百(みつごのたましいひゃく)まで」

年を重ねても幼い頃の性格や気質は変わらないことを示す有名な言葉だ。三歳の時の性質は、百歳になったって変わらないということを端的に表している。

それならば私は三歳の時にはもう毎秒毎分毎時間毎日の長さと人生の重さに辟易とし、目の前の積み木や絵本やクレヨンと画用紙なんかで、人生を消化していたのだろうか。

そうであるならば米ちゃんは三歳の時には、もう自分自身を麻痺させないと息をすることが難しく、奇声を上げたり奇行をしたりして周囲の大人の注目を集めていたのだろうか。

米ちゃんと私、新しい男とで、三人で会うことが実現したその夜。私たちは随分盛り上がった。これまでしてきた仕事の話、恋愛の話、学生時代どんな風だったか、どんな場面でどんな感性をもって生きてきたのかを共有し合った。

三人のうちの二人が初対面であるなんて信じられないほどのテーマと濃さで、話は繰り広げられたのだった。

途中男は何度も席を立とうとし、その度に私たちの方から「どうぞそのままに」と声をかけた。そうすると男は煙草を吸った。