一緒に何度もお酒を飲んだ。未成年だと知りながら何度も夜の店で飲んだ。帰り際には年下のくせして、いつもブランド品やお金をくれた。
その男は地方競馬の騎手で、つい最近落馬事故であっけなく亡くなったとニュースで知った。彼との関係は永遠の秘密になった。
深酒をし、お酒が抜けていないのに、翌朝から仕事で運転していたこともあった。パトカーを見かけてひやひやしたが、検挙されることはなかった。
度々事故を起こす私が、その日は運良く事故や交通違反で取り締まられることはなかった。
ギャンブルに依存していた頃は勤務時間中にパチンコ屋に行っていた。当たれば席を立てなくなるし、負けていれば取り返したくて席を立ちたくなくなった。
それでも約束をすっぽかして続けるほどではなく、知り合いに声をかけられることもなかった。知り合いに出くわしてもおかしくない頻度と場所で通い詰めていたはずなのに、天罰は下らなかった。
会社のお金を使い込んだことも一度や二度ではない。それでも監査で露呈することもなかった。
悲惨な幼少期には、何度も万引きをしていたっけ。だけどそれも露呈しなかった。
米ちゃんにも話せていないが、ことセなら実はこの数年間何度も何人とも重ねてきた。楽しんできた。それに生かされて、ここまで来た。
数え切れないほど重ねた罪に、見合うほどの罰を私は受けずに、ここまでたどり着いたように思う。私の悪事はいつだって表面化せず、ぎりぎりのところで私は常に護られてきた。だから今回だって大丈夫。きっと、うまくやれるはずだ。
もういけるところまで三人でいこうと思った。
私はこの御守りを持たずして、もう生きていける気がしない。
本連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。
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