【前回の記事を読む】「あなたに振り向いてほしかった」——元カノのついた嘘に夫は大激怒。「妻がどれだけ傷ついたか、君に分かるか!」

第二章 愛の試練 

「それと、この間のゴールデンジーオーのプレゼン、今度の柳ファストのプレゼン、この本の中に、あるおまじないがあるんですよ。試してみたんです。おまじないをして出かけました」と話した時、

「専務、柳ファストの柳社長よりお電話が入っています」

とっさに、社長と目でアイコンタクト。

「はい、代わりました、山岡です」と挨拶。

「そうですか、ありがとうございます。見積りをじっくり読んでいただいたんですね。他社より高い理由が分かって頂いたのですね。はい、後日吉田と会社へ伺います。それでは」

丈哉さん、社長とガッツリ握手。

「鈴木(すずき)秘書、明日、社長と僕のスケジュール調整を頼む。それと午前中に先方に電話をしてください。高木秘書は柳社長の好きなドラ焼きと奥様の好きなケーキの手配、急ぎ、総務へ連絡、契約書の準備、契約書は確認作業をするように」

テキパキ指示を出す丈哉さんを社長は笑って見ている。

「香子さん。専務、凄いでしょう。これでミスがあれば、怖いよう。アハハハハ」

二人の秘書、急ぎスケジュール調整をしている。

「社長、ほら女神効果、抜群です」

「香子、ありがとう」

「ええー、私は何もしていません」

「それで良いんだよ。香子、もう僕から離れないでね」

「嫌だ~。意地悪ですね。もう言わないでください」

社長、大笑い。

「専務、井寄(いよせ)建設の井口(いぐち)社長がお見えです」

「高木、約束有ったか?」

「いいえ、ありません」

「どうしたんだろう。通して」

井口社長、

「アポも取らずにすみません。取り急ぎ、謝罪をと思い。あッ! 吉田社長もいらっしゃいましたか。この度はうちの社員が山岡専務に酷い事をしたと聞きました」