【前回の記事を読む】「あなたは欲求不満解消にいいそうよ。便利な女ってとこね」突然現れた元カノが放った言葉。それを聞いて私は頭が真っ白になり…
第二章 愛の試練
私の顔を見て、
「えっ!」と驚いている。
早々に、
「君が妻に何を言ったか、ここで確認したい! まず、僕が君にホテルへ呼び出された理由は君から話して」
「……」
「早く!」びっくりするぐらい大きな声。
「奥さんに意地悪されたくなかったら、必ず来てと」小さい声で。
「僕が残業中に、急いで部屋に行ったら君は僕に何をした?」
「……」
「僕に大声を出させたいのか!」
「あなたに、抱いてほしいと言った」
「あとは?」
「……丈哉のものを触った。何度も……」
「それで?」
「勃たなくて……びっくりした」
「僕は何と言ったか!」
「奥さんでしか、勃たないと」
「妻の事を、僕は便利な女と言ったか!」
「……いいえ、違います。一番大切な人と言っていた」
「何故、あんな酷いうそを言ったんだ。どれだけ妻が傷ついたか、君に分かるか! 腹が立って殴りたい気持ちを我慢しているんだ。女だから!」
「丈哉さん、止めて」
ルミさんは、
「ごめんなさい。悔しかったの! あなたは私に振り向きもしないから」
「こんな非常識な事が出来るのか! 人間性の問題だ。二度と、電話もするな、仕事でも絡みたくない」
丈哉さん、顔が真っ赤だ。
「香子、彼女の嘘だ。分かってくれたか?」
「はい」
「そうか。帰ろう」と私の手を引いて会議室を出た。
ドアを大きな音で閉めた。