社長が入ってきた。

「社長、どうしたのですか? 僕は休みですよ」と丈哉さん。

「香子さんが来ていると聞いて、会いに来たんだ。君の仏頂面を見るより嬉しい。ねぇ、香子さん」

「何ですか、それ。今日は休みですから、仕事はしません」と言いながら、凄い勢いで書類に目を通し、電話対応している。

「僕は女神が側にいないと、生きていけません、社長」

「言ってくれるなぁ~。香子さんは、可愛いからな」

「そうなんですよ~」

「今日、食事でもしようか、香子さん」

「ああ~、社長、今日はだめです。香子の手料理に飢えています。それと体にも」

「なんだよ、それ、言ってくれるなぁ~。邪魔という事か」

「そうです」

「君が、そんな事を言うんだ。アハハハハ。残念だが、諦めるよ、香子さん、僕は発見したぞ、専務の弱点を。うふふふ。香子さん、何でもいいから、困った時は連絡して。力になるぞう」とプライベートの携帯番号を教えてくれた。

「社長、僕だって十年前ですよね。この番号、教えてもらったのは」

「そうだったかなぁ~。香子さんは別格だよ。専務の弱点は押さえていないと。アハハハハ」

「社長、そういえばこの小説ですがね」と引き出しから小説を出した。

「友人から凄く面白くて、お陰で妻に優しくなったと教えてもらったんです。僕も一挙に読んでしまったのです。ある大手出版社G社で本を出している女性の著者で、処女作らしいのですが、これまた、面白いんです。

『幸せを呼ぶシンデレラおばさんと王子様』のタイトルですが、社長、奥さんに対する気持ちが変わります。僕は、香子を女神と思うようになりました」

「専務が珍しいな。経済本しか、読まないのに」

「そうです。二度、いや三度も読み返しましたよ。挿絵に使われている図があるのですが、素晴らしいですよ。当たり前ですが、感心させられました。見てください」と小説を見せている。

「専務、この小説、読んでみたい。持っていくよ」

「どうぞ、社長。体力が必要になりますから。アハハハハ」

「どういう事かな?」

「読んだら分かります」

次回更新は9月18日(木)、22時の予定です。

 

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