【前回の記事を読む】「私、実は左側の胸がないの」——この人なら私を受け入れてくれる、そう思い打ち明けたが「は……?」
訳アリな私でも、愛してくれますか
「マジかよ……」
「ごめんね、今まで打ち明けられなくて……でも、大輝とそういうことをする前に、伝えておかなきゃって思ったの」
大輝の様子を伺う。言葉を選んでいるのが伝わってくる。
「……まぁ、じゃあ……今日はやめとく?」
「え……」
(やめてほしいっていうわけじゃないんだけど……)
ただ、理解してほしいだけだった。それでも大輝はくるみに背を向けてしまった。
(……ショックだったかな……)
自分のことで大輝を傷つけてしまったかも知れない。初めてを断られた気がして、拗ねてしまったのかも知れない。くるみはその背中に抱きついてその日は眠った。
その翌日。大学の構内に足を踏み入れた途端、聞こえてきた声に耳を澄ませた。昨日まではこの声を聞いただけで胸がときめき、今すぐに走り出して彼に声をかけたい気分だった。しかし、今日は違う。
(あ、大輝君だ……昨日のこと、どう思ってるかな)
嫌な思いをさせたかもしれない、と思う。しかし、今思えばそう思ってしまうのも、実際は彼が受け止めてくれただろうという大きな過信があって、その上にあぐらをかいたまま、彼への遠慮があってのことだろう。
くるみは彼の反応を見るのがやや怖くて、壁一枚隔てたその教室に足を踏み入れられない。すると、彼とその友人2人の会話が聞こえてきた。
「つーかさ、昨日マジきつかったわ」
「何が?」
「前さ、彼女できたって言ったじゃん。それがくるみって言うんだけど、そいつと昨日ヤろうとしたんだよ」
「おお、どうだった?」
「相手、処女?」
「知らね。多分そうだけど。そこじゃねーんだよ。とにかくさ、部屋で2人になるじゃん? いい感じの雰囲気作って、いよいよって時にさ。あいつ、なんか深刻な顔して話し出すの」
「何を?」
どくり、どくり、と心臓が大きな音を立てる。
「なんか、向こうが言うには病気で片方の、左胸?がないらしくて」
「ええー。マジ?」
「きっつ……」