【前回の記事を読む】『母親の顔思い出すよりきつかったわ~』…初めてエッチしようとした日の翌日、彼氏は私の体のことを言いふらした。

訳アリな私でも、愛してくれますか

「くるみさん? お知り合いの方だったんですか……?」

「すみません、みっともないところをお見せして……毎回、笹川さんに助けてもらっている気がします」

「そんなことないです。あまり大丈夫じゃない様子だったので、間に入っただけです」

「本当にすみません、ありがとうございました」

涙がこぼれてしまいそうになる。鼻の奥がツンと痛くなって、くるみは笹川から顔を背けた。

「あの、私……まだ、仕事が残っているので……戻りますね」

「……はい。お仕事、頑張ってください」

笹川は、まだ自分の方を見ているだろうと思う。何も核心に触れるようなことを言わせないまま逃げて申し訳ないと思う気持ちと、涙を見せたくないという気持ちがせめぎあっていた。

あのあとオフィスに戻って少しした頃、大輝から受注キャンセルの連絡が来た。

(こうならないように、早く切り上げたかったのに)

胃がキリキリするとはこういうことなのだろう。すでにくるみの涙腺は決壊寸前なのに、そこにカウンターが入る。くるみは自分の気持ちを無にして報告するしかなかった。

「課長、ご報告があります」

「なんだ?」

今の所ごきげんな課長が、これから怒りモードに変わるだろうと思うと手が震えた。

「さっき商談があった大内様からのご連絡なのですが」

「お? もう発注書届いたか?」

「いえ、今回の受注、キャンセルにしたいと……」

「はあ? なんで?」

課長の顔がきつく締まる。睨むような眼差しで見つめられ、くるみは恐怖を感じながら口を開いた。

「理由はメールに書かれていないのでわかりませんが、おそらく担当が私だから……だと思います」

くるみがそう言うと、露骨にイライラとした態度を見せる課長が、指でカツカツと机を叩く。

「せっかく今回は特別に金額も下げて対応したんだぞ? どういうことかわかるか?」

「本当に申し訳ございません」

「お前、さては元カレかなんかだろ? 何かひどいことをしたんだな? 浮気か?」

「申し訳ございません」