思えば親のことは何も考えていなかった。自分勝手なものである。その決定について、母が賛成や反対を言った記憶がない。今自分が親になってみて、もし子どもが郷里から遠く離れた大学に行くと言ったら、たとえ公立であっても、アパート代や交通費を思ってすぐには首を縦には振らないだろう。しかもその頃、私の父は酒におぼれ、まともに働かなかった。その分、母は家業の弁当作りに加えて、下宿の仕事も増やし、生活費を稼ごうと…
歴史・地理
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