【前回の記事を読む】西明寺、高山寺…京都仏像巡り。牛若丸こと源義経が修行した地としても知られる鞍馬寺。非公開の本尊は…

京都Ⅰ編

空海を訪ねて 2017年10月11日(水)~ 13日(金)

鞍馬寺(くらまでら)

山門前の精進料理のお店に入り遅い昼食とし、鞍馬駅から電車を乗り継いで往路を祇園四条駅まで戻る。河原町の居酒屋で、出し巻玉子をつまみに生ビールをいただき、ほろ酔い気分で夜の八坂(やさか)神社を通り、徒歩で円山公園の宿に戻る。

10 月 13 日

宿から「祇園」へ。ここで「銀閣寺」行きのバスに乗り、「東天王町」で下車。永観堂へ向かう。今日はあいにくの雨である。

永観堂(えいかんどう)

紅葉シーズンの混雑を避けた京都だが、永観堂は色づき始めている。紅葉は真っ盛りよりこの頃が好きだ。それに雨の永観堂は静かである。永観堂は正式には禅林寺(ぜんりんじ)。しかし地元の人は決して「禅林寺」とは言わない。庶民に慕われた第7代住持(じゅうじ) 永観に親しみを込めて「永観堂さん」と呼ぶらしい。

中門(ちゅうもん)をくぐり、釈迦堂、千佛洞(せんぶつどう)、御影堂(みえいどう)と順に巡る。釈迦堂で釈迦三尊を拝み、千佛洞では山越阿弥陀図(やまごえあみだず)(国宝)の複製を拝見した。これは、臨終の人を浄土に迎えるため山間(やまあい)から姿を現した阿弥陀如来を描いたものである。

浄土宗の開祖法然上人(ほうねんしょうにん)が祀られている御影堂を出て、臥龍廊(がりゅうろう)を開山堂へ。永観堂の開山は空海の高弟真紹(しんじょう)である。臥龍廊を戻り、水琴窟(すいきんくつ)に水を注ぐ。水滴が奏でる澄んだ音を耳に、阿弥陀堂へ入る。阿弥陀堂が永観堂の本堂である。

本尊阿弥陀如来は「みかえり阿弥陀」として広く知られる。JR東海の「そうだ 京都、行こう。」のキャンペーンで有名になったらしい。顔をそむけるかのように左に大きく首を曲げている。こんな仏さまはかなり珍しいという。

実は、顔をそむけているわけではなく、後ろをふり返っているらしい。諸説あるが、遅れた人々をふり返って導こうとする阿弥陀の慈悲(じひ) を表しているといわれる。

像高が77センチメートルと小ぶりで女性には人気のようだが、私にはきれいな仏さまとしか印象に残らなかった。正面からはそっぽを向いているが、厨子(ずし)の横に窓が開いていて、右に回ればお顔が拝放生池錦雲橋められる。

阿弥陀堂拝観後、外に出れば雨は止んでいた。多宝塔に寄り、放生池(ほうしょういけ)のほとりを散策して中門を出、永観堂を後にする。