「もう! 何よ!」そして、吐き捨てるように言った。「イーッ! だ!」アキオは、あっ気にとられて、ポカンと見つめていた。「ハル姉ちゃん……」ナツも唖然とした様子だ。「おとなげない……」ハルにしてみれば、あの男に、一瞬でもうっとりしかけたことが悔しくて仕方がなかった。ハルの言おうとしたことは、屁理屈をこねてはぐらかされた上に、終始、子供をあしらうかのように、馬鹿にされっ放しだったのだ。だが、一方で、…
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小説『北満のシリウス』【第11回】鎌田 一正
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帰れる嬉しさに、少女は怒られても澄まし顔。仕事は全くせず乾パンを食べ散らし、写真を見せて喜んでいる。
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エッセイ『相対性理論批判の新しい形』【第11回】佐藤 淳
「物が縮む」という相対論の主張を、宇宙船に当てはめてみると?10光年先の星を目指した船で点けた光の速度は…
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天文一八(一五四九)年、日本に初めてキリスト教をもたらしたフランシスコ・ザビエルが鹿児島に上陸。都での布教を果たすも突然の「伴天連(バテレン)追放令」に…
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小説『いつか海の見える街へ』【第13回】須賀 渚
おねだり後に姿を消した彼女。以来仕事に身が入らずうつ状態が続き田舎に帰ろうとついに退職を決意し…
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小説『カラスと少年 ―愛しき11種の動物とのふれあい物語-』【第11回】飯塚 舜介
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小説『オレンジ病棟』【第14回】朝丘 大介
上の者にはヘコヘコ、患者や後輩には「教育」と称してボロクソに言う百九十センチ二十代半ばの男性看護師
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小説『第三のオンナ、』【第19回】椎名 雅史
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実用『仕事で悩む若者は適応障害なのか』【第17回】野坂 きみ子
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エッセイ『振り子の指す方へ』【第17回】山口 ゆり子
あの日、同じように妻を抱きしめていたのなら…。泣いている義姉をソファーに横たえ、そして…
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エッセイ『司法の国際化と日本 法のグローバリズムにどう対処する』【第19回】秋山 武夫
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小説『維新京都 医学事始』【第19回】山崎 悠人
初めて見る西洋医術に興味津々。尊大な態度の役人も、診察を終えるころにはすっかり尊敬のまなざしに
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評論『人生の法則』【第14回】岩崎 勇,四海 雅子
輝く未来を切り拓くためには「一生青春! 一生勉強!」現在の自分に満足せず好奇心とチャレンジ精神で更なる高みを目指し挑戦し続けることが大切
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エッセイ『徒然な男のブルース オケラの戯言365話』【第22回】石田 五十六
文化のビッグバンともいえる全世界を席捲し芸術のあらゆる分野を巻き込んだ「シュールレアリスム」
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小説『湘南ラブストーリー 瑠璃色の朝焼け』【第20回】小林 正吾
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小説『光と闇の相剋』【第14回】髙嶋 郷二
いじめにあっていた女の子。母親から「由紀ちゃんを助けてあげなさい」と言われ、一度助けてあげたところ…
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エッセイ『逆境のトリセツ』【第17回】谷口 正典,益村 泉月珠
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ネパールで初めて遊んだ友だちはストゥーパ裏のゴンパ(僧院)に行く途中で出会った仲よし兄弟
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小説『乱世、一炊の夢』【第7回】安藤 恒久郎
忍城開城が前代未聞の寛大な処置だったのは甲斐姫の側室話が裏の条件だった!? のちに寝物語で父氏長の所領をちゃっかり寝取ったとも
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エッセイ『フケメンの戯言』【第11回】現王園 秀志
老に対峙することとは「自分自身と真正面から対峙すること」逃げることは許されず、しっかりと自分の老を捉えなければならない