事故を見た記憶は消えていた。辺り一面に咲くすずらん。小さな花は風に吹かれてひっきりなしにそよいでいるのに、耳をふさがれてでもいるかのように音がしない。その不思議な無音の世界を亜美が意識した途端、風の音がした。 ─亜美─「お父さん」姿はないがそれはまぎれもなく雄一の声だった。温泉宿は消え、辺りは見渡す限りのすずらん。「お父さんどこ?」心細くなってもう一度呼ぶが返事はない。あきらめて歩き出す亜美。し…
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小説『モータル』【第10回】伊藤 美樹
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小説『寂しがり屋の森』【第2回】村松 凪
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小説『モータル』【第9回】伊藤 美樹
斜面に停まっていたダンプカーが真っすぐこちらに急加速してきた。ボンと音を立て、父の首が不自然に曲がるのが見えて…
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小説『寂しがり屋の森』【新連載】村松 凪
透明な顔、それが鈴木君のありのままの顔だった... だれもが、やりたくてやってることばかりじゃない
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小説『モータル』【第7回】伊藤 美樹
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小説『モータル』【第6回】伊藤 美樹
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小説『モータル』【第5回】伊藤 美樹
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小説『モータル』【第4回】伊藤 美樹
これは夢?それとも現実?何度も夢で見た光景が目の前に広がり…
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小説『モータル』【第3回】伊藤 美樹
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小説『モータル』【第2回】伊藤 美樹
「お父さん!」大きな目に涙がふくれ上がり、長いまつ毛を濡らした9歳の少女
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小説『モータル』【新連載】伊藤 美樹
朝は短く昼はない、大半が夜。仕組みや構造が現実の世界とは異なるカトマンザ
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小説『ひとしずく』【最終回】今明 さみどり
「目をひらいているほうが、こわくない!」怖がって閉じていた目をあけた先にあったのは…
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小説『ひとしずく』【第6回】今明 さみどり
【小説】「時間の尺度というのは誰にでも公平ではないのです」
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小説『ひとしずく』【第5回】今明 さみどり
サヨナラってぼくに?また今度って誰へ?「サヨナラ」と「また今度」の続きなんて本当にあるの…
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小説『ひとしずく』【第4回】今明 さみどり
水の滴の姿で旅立っていく兄弟たち…ころころと笑うような別れのあいさつ
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小説『ひとしずく』【第3回】今明 さみどり
空気の振動よりずっと小さな声で…緑児のように他愛ないつぶやき
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小説『ひとしずく』【第2回】今明 さみどり
【小説】生命が芽吹く森…「何千種もの緑色が一度にこぼるるこのときを、何と表現すればいいのでしょう」
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小説『ひとしずく』【新連載】今明 さみどり
【小説】まだ誰も出会ったことがない“ひとしずく”の物語