【前回記事を読む】「それとさ。人間の仕事は、もうAIとの協働は避けて通れないよね。そいつは、人間より優秀に仕事をこなすようになるの?」

第一章 知覚センサー、機能不全

アッちゃんが、イマジネーションを飛ばす。

「前に友達と話していたんだけど。恋愛も古今東西で、50ぐらいのパターンしかないかもねって。そうすると、自分の想定を越えたパプニングだらけの恋愛をするよりも、パターン03と24を組み合わせたアンドロイドとつき合ったほうが、合理的にしあわせ……そういうひとたちも、少なからずいると思うのよね」

「うわ。むかしは人間同士が、理不尽でどうしようもない恋愛をしていたんだな、バカじゃないの?みたいな未来か」

「ボクは、恋愛をPDCAやKPIみたいに進行したがるひとたちを、知っています」

Keiさんが頭を整理する。

「システマティックでバグもなく、働くことをパターン通りにコントロールしたいひとたちと、人間の曖昧でわけのわからないインスピレーションやサプライズを楽しみたいひとたちと、そこはかなり分かれるような感じですかね」

「あたし、どっちなんだろう? Keiさん、創造性の本当の問題は、テクニックじゃなくて、生き方みたいなことなんでしょうか?」

みんなのやり取りに、ネイビーが返す。

「本当は誰もが両利き使いになるといいよな。システマティック派もサプライズ派も、どっちみち煩わしい手続き作業をAIに任せていくわけだから。余った時間でやることは、結局、創造性方面に向かうしかなくなるんじゃない? ……そんなに都合よくは、いかないか」