これからテクノロジーに代替される職務のひとほど、発想や妄想に関心を示さず、むしろそれを効率の悪い粗野な仕事とみなしているところもあるだろう。

じっと聴いていたYOさんが、小さく手を挙げる。

「ちょっと、いいか。もしおれが、恋愛パターン19と35がセットのアンドロイドとつき合ったら。それは、浮気でしょうか?」

「やめとけって」

Keiさんは、工務店の経営を牽引する、女ターミネーターのような勝代義姉さんを思い浮かべる。

「その……恋愛パターンだけじゃなくて、顔とか、ボディとか、パーツもバラバラに選択できるとありがたいな。おれは恋愛的人財に、人間もアンドロイドも、両利きで必要だと思うぞ」

「あんたが義姉さんにバラバラにされる」

アッちゃんが、小さくのびをする。

「みんなふだんは、メチャ面白いことに気がついて、言ったりしているのに。どうして仕事になると、アンドロイドみたいに、スマートになっちゃうのかな」

ネイビーがKeiさんのほうへ、ねぎらうように声をかける。

「人財ごとは、大変な仕事になったね」

「我々にも、パターンに依存しすぎた反省はあります。創造性だって、フレームの中に手順良く情報を穴埋めしていけば、すぐ答えが出るだろう、ぐらいに考えてきてしまったのかもしれません。

しかし、これは教育研修の手に負えるのかな。かといって、現場に預けても難しいでしょうね。いやぁ、まいったなぁ。でも、やらなきゃなぁ」