絡げた裳裾(もすそ)を水飛沫(みずしぶき)で濡らし、川底の小石の上でよろめく足元を確かめつつ、妻は水遊びの子を呼んでいる。陽の光は煌めき、水の飛沫、飛ぶ虫の翅(はね)、笑う子の白歯、脇に置いた太刀の鍔(つば)の上に揺蕩(たゆと)う。「お方様、水の中さ入らねぇで、戻ってくなんしぇ」下女のきぬが水を跳ね返しながら川に入り、妻の脇を通って娘の方へと急ぐ。水の中に座っていた娘を抱き上げてきぬが岸辺に戻っ…
歴史小説の記事一覧
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小説『するすみ九郎』【新連載】三崎 暁子
1189年、奥州・平泉。最期の日々を過ごす源義経は、静かに“あの日々”を思い出していた――
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小説『千年の密約』【新連載】藤基 寛
「この条件を受け入れるなら、あと10年の命を授ける」――病に伏す姫君に閻魔が持ちかけた“恐るべき取引”とは?
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小説『鼠たちのカクメイ』【第36回】横山 由貴男
「これが幕府の威信を吹き飛ばした男の顔か」大塩平八郎の首を見て高笑いする家斉。誰もこのワンマン大御所を止められない
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小説『紅の記憶 武烈と呼ばれた天皇』【第2回】青葉 こと
「この話は本当に史実か?」短命に終わったある天皇をめぐる記述に不比等が疑念を抱く。その天皇の名は――
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小説『縁 或る武家のものがたり』【第10回】伊藤 真康
燃え落ちる大坂城を背に、阿古姫と幼子たちは仙台へ。彼女を訪ねてきた意外な人物とは――?
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小説『テーバイの将軍エパミノンダスとペロピダス』【第2回】竹中 愛語
カドメイアに響く女たちの悲鳴。――こうしてテーバイは一夜にしてスパルタに占領された
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小説『鼠たちのカクメイ』【第35回】横山 由貴男
大塩の首をこの目で見たいと言う大御所・徳川家斉に謁見するため、カイは田沼意留とともに“一介の旗本”として江戸城に乗り込む
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小説『ながれ星 冬星』【第4回】石田 義一郎
その瞬間、ごろつき連中にやられて倒れていたはずの男の目がバッと見開いた。目をつぶったままの少女を見た瞬間だった。
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小説『野島・夏島』【第2回】小川 賢
二機の複葉機は野島と夏島の間にある横須賀海軍航空隊の追浜飛行場に向かって低空で侵入して、飛行場の上空を低空で通過した
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小説『克己』【第4回】河﨑 浩
「私が手を掛けて、一からとなると、最低半年か一年は――」だが、良質の玉鋼が入手出来なければ不可能であった
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小説『鼠たちのカクメイ』【第34回】横山 由貴男
大塩の乱から三年後、大塩の首を獲ったという者が現れた。彼が持ち込んだ甕の中には薬品に漬けられた大塩らしき男の首があった
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小説『鼠たちのカクメイ』【第33回】横山 由貴男
歴史に名前が残るのは偉い人たちだけ。その裏には多くの無名の人々がいる。「だから、だからあの人は、オイラたちなんだ!」
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小説『岐路』【第5回】田中 建彦、田中 充恵
「この野郎!」――彼の手が何か異様なものに触れた。荒ててそれをつかみあげると、それは他人の手だった。
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小説『鼠たちのカクメイ』【第32回】横山 由貴男
市井では「大塩生存説」なるものが流布していた。その背景には大塩一党への同情と幕府への反感が根深くあった
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小説『今は令和と申すのか』【第8回】おおいわ 美紅
「あの夜と朝、私の布団の中で感じた気配はあなた様だったのですか?」ドキドキしながら聞いてみると、信長様は…
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小説『みわがしろ』【第2回】長石 潔
今回の藩主への謁見により雄之助は家老である岡本安尊の娘婿として認められ、中小姓書役見習いとして出仕することになった
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小説『鼠たちのカクメイ』【第31回】横山 由貴男
「死よ、俺を受け入れよ!」――自ら火薬を飲み込み散った意義の最期を見て、もう後戻りはできないとカイは覚悟を決めた
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小説『タケル』【第8回】中村 東樹
幼なじみと共に機殿へ奉職したフタジ。最初の仕事は、和妙(にぎたえ)の製作に携わることであった…
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小説『鼠たちのカクメイ』【第30回】横山 由貴男
大塩平八郎は切腹した。「わしらは捨て石や。お主ら若者は……しかと、見届けよ」
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小説『義満と世阿弥』【第7回】貝塚 万里子
連歌など結局は言葉遊び、虚しい暇つぶしに過ぎない様だ。俺が芸術に求めるのは、もっと違う何かだ