私は、昔どおりの慣習でいえば数えで古稀を迎えた年に、母紀美子を見送ることになった。衰えゆく記憶力を感じ、頼りない我が記憶を忘れないうちに書き留めたいと思い、本の出版を思い立ち、身の程知らずと知りながら、幻冬舎ルネッサンス新社編集部の門を叩いた。応対に出ていただいたのは、山名克弥社長。身が震えたが、「おふくろのことを本として残したい」という素直な気持ちを伝えると、「奥井さん、お母さんの一人暮らしの…
昭和の記事一覧
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エッセイ『おふくろの品格』【新連載】奥井 栄一
母の人生をふりかえる――古希を迎えた年に亡くなった母。思い出が薄れてしまう前に、忘れてしまう前に「本として残したい」
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小説『霧は、アンダンテで流れ行く』【新連載】余語 眞二
顔より大きな三角形の一切れ、真っ赤な実と皮の緑色が夏そのものだった――思い出すのは夏の景色。縁側で祖母と食べた西瓜の冷たさ
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小説『この子ばっかしゃ』【新連載】石田 哲彌
かつて、若者はなにかに追い詰められたように突っ走り、そして駆け抜けた……。主人公"ケン"の物語が始まる
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エッセイ『昭和の子――12歳の自分史』【新連載】服部 真
僕が生まれる前、おじいちゃんは母の体より僕の名前の方を心配した
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小説『29歳、右折の週』【第8回】言田 みさこ
「あたし、これ受けたいわ」「受けたいの?でも、話をしようよ。そのほうが楽しいよ…」彼女は見下した顔つきで返答の必要なしと考えた
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小説『海のように深く、大地のように温かい』【第11回】天馬 ときわ
高度経済成長で人手不足だった1950年代は中卒就職者が「金の卵」として引っ張りだこだった
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小説『ぼくとマンゴとエルマーノ』【第3回】マイク 峯
ドミニカ一日目の朝。食卓にあったのは日本では貴重なバナナ! 慎ちゃんは弟たちと一緒に「うああ、バナナっておいしいねえ」
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小説『29歳、右折の週』【第7回】言田 みさこ
「どうも、こんちわ」許婚が連れられてやってきた。親友は挨拶もせず、鋭い眼で下から見据えている。
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小説『海のように深く、大地のように温かい』【第10回】天馬 ときわ
継母はひどい奴や。実の子には贅沢に食べさせて、俺には「今日お米ないから、おまえ隣の家にお米借りにいってちょうだい」
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小説『ぼくとマンゴとエルマーノ』【第2回】マイク 峯
深夜、まどろみの中、目を覚まして聞こえてきたのは怪獣のようなうなり声。その声の持ち主とは……?
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小説『29歳、右折の週』【第6回】言田 みさこ
目の粗い紺のセーターを着ていても、中央の背骨がわかるほど痩せて細い。先生の目を盗んで、30センチ定規でその背中をつついた。
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小説『海のように深く、大地のように温かい』【第9回】天馬 ときわ
「魚がさばけへんでも経営くらいできる、魚は生臭いから嫌」…店主の一人息子は、嫌々仕事をしとる。俺に物言われるのが嫌そうや。
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小説『ぼくとマンゴとエルマーノ』【新連載】マイク 峯
戦後・日本が貧しかった時、家族はドミニカ共和国への移住を決めた。「カリブの楽園」と謡われた国で物語は始まる―。
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小説『29歳、右折の週』【第5回】言田 みさこ
私の片耳をピッタリと両手で囲い、舌が上あごからピチャッと離れる音まで聞こえるいやらしいひそひそ声で、えげつない話をたくさん聞いた。
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小説『海のように深く、大地のように温かい』【第8回】天馬 ときわ
「お父さんが死んでしもたんや。そろそろこっちに戻ってきたらどうやろう」葬式の日、北海道で就職した一人息子に本心を明かした
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小説『29歳、右折の週』【第4回】言田 みさこ
淫乱な女は14、15歳で既に男を錯乱させる光を持つと言う。15歳の理緒子に対して、7つ上の兄は「男の目」になっていた。
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小説『海のように深く、大地のように温かい』【第7回】天馬 ときわ
家族が営む鮮魚店。週末の宴会場は満員御礼の大忙し。厨房では、4歳の娘までもが大切な労働力!
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小説『29歳、右折の週』【第3回】言田 みさこ
職員室に入り込み、めぼしい話を盗み聞きしようと、机がひしめく狭い通路を四つん這いになって這って歩いていた彼女…
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小説『海のように深く、大地のように温かい』【第6回】天馬 ときわ
勝浦温泉まで新婚旅行。丸くふっくらしたゴマアザラシのような模様の貝を手渡した。
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小説『29歳、右折の週』【第2回】言田 みさこ
世の中を笑っていた。笑うことが好きだ。そしてあたりを射抜くように見ている。