深夜の薄暗い階段を上った。踊り場のすぐ目の間にある薄汚れた扉を開けた。きしんだ音がした。小さな男性用便所の蛍光灯は今日も点滅していた。右奥にある物置場から掃除用のモップとバケツを取り出し、バケツがいっぱいになるまで水を入れた。バケツの水にモップを浸し、床から拭いていく。拭くというより撫でるといった方が適切だ。この半年の間、築四十年のビルの五階にある男性用と女性用の便所で、同じ動作を繰り返してきた…
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小説『シュバルツ・ヴァルト』【第11回】萬野 行子
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小説『虹色の魂』【第21回】青居 蒼空
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小説『虹色の魂』【最終回】青居 蒼空
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小説『虹色の魂』【第19回】青居 蒼空
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