真夏の岬は、油絵具を散りばめたパレットのように色彩で溢れていた。褐色の火成岩、恒星のように輝く日向夏、潮風が練り込まれた有刺鉄線、置き去りの銀色の自転車、角砂糖のような小さな官舎……その岬の突端、小高い丘の中央に、白亜の灯台が屹立している。揺らめく陽炎、無気力な風力計。一年を通して人影も疎らなこの風景を、いまは一世代前の監視カメラがぼんやりと眺めているだけだ。その“風景”が突然動き始めた。半世紀…
ミステリーの記事一覧
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小説『極彩の岬』【新連載】熊坂 俊太郎
真夏の岬に屹立する白亜の灯台――敗戦の影に封印された“不可解な事件”の謎
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小説『トオル』【第3回】井原 淑子
息子が眠る治療室は、窓全開で網戸に埃。天井から雨漏りのように何かの液が滴り落ちてきて…
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小説『悪魔に下す鉄槌』【最終回】南 十士郎
ヤクを捌く簡単な仕事だったはずなのに失敗に終わり、相手からは信頼を失った。失敗の原因は…
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小説『灰色の風が吹く』【第2回】成澤 良喜
暴行された男が数日後に部屋を訪ねてきた。冷たく追い払うと今度は若い女を連れて現れた
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小説『白い陥落~看護学生あずみの事件簿 2~』【第11回】叶浦 みのり
「結婚の約束をしています」ストーカー女の衝撃発言――玉の輿に乗りたい女性秘書が社長代代理に付きまとい、自宅にまで押し掛け…
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小説『ラーゴ 』【第11回】そのこ+W
イタリアのスカラ座で『仮面舞踏会』の主役アメリアを歌ったことがある先生。オペラよりもドラマチックな事実を聞き…
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小説『眠れる森の復讐鬼』【最終回】春山 大樹
手紙に書かれていたのは「死をもってこの罪を償います」――紙がくしゃくしゃになるほど強く握りしめ、彼女の名前を何度も呼んだ
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小説『沈下橋』【第3回】金原 信彦
「変人と天才は紙一重だな」――自分は天才じゃないから、風体なんか気にしてる暇はない。そう思って仕事に没頭してきたのに…
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小説『シウカラ』【第11回】山田 光美
やはりこれは殺人だった……! 密室で死んだ先代社長、少女の告白が新たな謎を呼ぶ
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小説『眠れる森の復讐鬼』【第46回】春山 大樹
「お前を友達と思ったことはない。ただ――」冷酷な一言の後、男が下した予想外の決断とは
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小説『〈ひまわり探偵局番外編〉 ひまわり坂で待ってる』【第5回】濱岡 稔
入道雲が広がる夏空の下。生ぬるい風がゆらゆらと吹きつける中、主人公はとある場所に向かっていた
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小説『シュバルツ・ヴァルト』【最終回】萬野 行子
兄の謎の事故死を解明したい。F1レーサーであった兄、車のことなどろくに知らない私が大企業に太刀打ちできるのか…
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小説『彼のために人を焼く』【第23回】暮山 からす
火だるまになった先生は僕の名前を叫んでいた――まさか僕の母親が自殺したことと今回の事件、何か繋がりが…?
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小説『眠れる森の復讐鬼』【第45回】春山 大樹
あいつらが同じ病院にいると聞いた瞬間、「もう終わりよ」と半狂乱で泣く彼女…その時初めて、彼女が何をされたのか知ってしまった。
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小説『惰走は駛走に変わる』【第2回】大森 是政
「兄さん、馬券は買えてるのかい?」親切心というより、自尊心があふれた男。一押しは7番・ダンジュウロウと言ったが...
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小説『眠れる森の復讐鬼』【第44回】春山 大樹
「それからが地獄だった。毎晩彼女の夢を見た。彼女が振り返って俺に向かってにこっと笑う。そうすると彼女の全身が炎に――」
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小説『魔手 隠密捜査官6』【第2回】冬野 秀俊
正面入口の方が慌ただしくなった次の瞬間、一発の銃声が響き渡り、数人の男がなだれ込んできた。そして再び一発の銃声が鳴り…
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小説『恋の終わりに』【第2回】西田 剛
『大阪・箕面』『死体遺棄』いつものようにPCで動画を見ようとしたら検索画面のトップページに表示されているニュースが……
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小説『眠れる森の復讐鬼』【第43回】春山 大樹
“8年間も昏睡状態”のはずの元いじめ被害者が夜中に動き出し、次々と加害者たちに手をかける…その驚愕のトリックを解明!
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小説『指切り宗佐 愛恋譚 』【第4回】星河 三郎
四日目の晩、惹かれ合う二人はついに――「明晩もきっと参ると約束してくれるか?」「何があろうと、必ず参ります」