(1)只見川沿いの奥会津にある人口二千人ほどの長山町。その中心にある長山駅から二、三人の乗客とともに一人の男が降りてきた。地味ながらアイロンがかかった水色の柄シャツに紺のスラックスをはいたその男は、年の頃にして40代半ばほどだろうか。大柄な体から汗を滴らせて改札を通ると、表の通りに一旦出てあたりを見回した後、右の方角に向かって歩を進め始めた。男の名前は鍛冶内(かじうち)。東京でのサラリーマン稼業…
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