バスは富士の五合目に着いた。夏休みだからか、あたりは多くの人でにぎわっている。私は、ついていけそうな団体を探した。ルートなど調べもせず、これからどんな道が待っているかも分からない。迷うのだけは避けたい私は、中学生くらいの男の子を連れた、高齢者も交ざった新潟から来たという家族の団体に声をかけた。人の良さそうな集団だったからだ。「後からついていくだけなので、一緒に行ってもいいですか」家族のおばさんは…
歴史・地理
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『忘るべからざることども』【第9回】稲田 寿太郎
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