周りには名も知らぬ黄色の花が咲き、その先に満々と水を湛えたダムが見えていた。そしてさらに向こうには両翼に山脈が延びている。振り返ると背後にも山並みが聳え、本当に見渡す限りの山だった。遠くから車の音が聞こえてきた。どこを走っているのかは判らないが、その音で一日の始まったことを感じた。骸骨は少しぼんやりしていた。もう少しここにいたいような気がした。一瞬このままここで暮らしてみようかとも考えた。どこへ…
[連載]標本室の男
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小説『標本室の男』【第28回】均埜 権兵衛
この広い世の中には一人くらい自分を受け容れてくれる人がいるだろう。そう考えて自らを慰めた。
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小説『標本室の男』【第27回】均埜 権兵衛
東京では色々なものを見た…夕方の駅、恋人が現れた時の女性の表情。葬列で、崩折れそうな黒装束の女性たち。人間って本当に…
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小説『標本室の男』【第26回】均埜 権兵衛
「実はねえ、オレ見てたんすよ」タクシー運転手は暗がりの小道に入っていく骸骨の姿を見ていたと言うが...?
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小説『標本室の男』【第25回】均埜 権兵衛
東京での骸骨探しは難航。飲み屋で偶然耳にした、ひょっとこ踊りの話とは?
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小説『標本室の男』【第24回】均埜 権兵衛
眠らない、疲れない、腹も減らない、そして喉も渇かない。これが生きているということなのだろうか。
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小説『標本室の男』【第23回】均埜 権兵衛
骸骨は同僚の男に誘われ温泉に行くことに。考えてみればいつまでも隠し通せるものではないのだ。本当の姿を見せよう...
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小説『標本室の男』【第22回】均埜 権兵衛
一昨日から急用と称して強引に一週間の休暇をとっている伊藤医師。なんだか嫌な胸騒ぎが…
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小説『標本室の男』【第21回】均埜 権兵衛
骸骨が病院を去ってから1か月が経過。懇意にしていた医師は、無事でいてくれることを願うように......
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小説『標本室の男』【第20回】均埜 権兵衛
トラックの運転手から「俺の所へ来ないか?」とありがたいお誘い。だが、上手くことばが見つからず、やっと口に出たのは…
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小説『標本室の男』【第19回】均埜 権兵衛
「お客さんどちらまで?」「海…」どこでもいい。東京を離れたかった。タクシーは走り去り、独りぽっちになった。その瞬間-!?
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小説『標本室の男』【第18回】均埜 権兵衛
自分は嗤いものになるために、東京に出てきたのだろうか。骸骨はもう決して人前では本当の姿を晒すまいと心に誓った。
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小説『標本室の男』【第17回】均埜 権兵衛
半身筋肉男は厭世的に呟く。「生きていることは幸運でもなく不運でもなく、ただそれだけのことだ」と。
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小説『標本室の男』【第16回】均埜 権兵衛
舞台は大都会東京へ。あらゆる物があるということは、何もないのと同じだった。
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小説『標本室の男』【第15回】均埜 権兵衛
ウワサの骸骨、別れを告げる...あんな姿で、あんなに世間知らずで一体どこへ行くというのか。
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小説『標本室の男』【第14回】均埜 権兵衛
しょんぼり骸骨、職を失う。素性の知れぬ人間を雇っていることが元請け会社で問題に。
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小説『標本室の男』【第13回】均埜 権兵衛
寝入る骸骨、謡うようにつぶやく。「春ニナッタセイカ…女性達ガ綺麗ですねえ」
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小説『標本室の男』【第12回】均埜 権兵衛
働く骸骨、適職は交通整理。彼の四角い身の動きが、ここではむしろ明確な意思表示として作用していた。
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小説『標本室の男』【第11回】均埜 権兵衛
先生と骸骨、二人だけの会話をひそかに盗み聞きする男の姿が… 男は顔を歪め、姿を消した
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小説『標本室の男』【第10回】均埜 権兵衛
知らず識らずのうちに骸骨のことを秘密にしていく方向を辿っていく院長
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小説『標本室の男』【第9回】均埜 権兵衛
目の前で秘密を知らない看護師二人に罵られる骸骨。当然動きだして驚かすことはできずに…
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