気がつくと歩道の端に立っていた。タクシーが疎らに停まり、そのテールライトの赤が目に染みた。「何処ニ行コウ‥‥何ヲシテ生キテイコウ?」自分の口にしたことばがまるで他人の声のように思えた。骸骨はなおも放心したように立ち尽くしていた。タクシーが一台滑るように寄ってきて、目の前でドアが開いた。骸骨は崩折れるように中へ吸いこまれていった。何故乗ったのか、どこへ行くのか自分でも判っていなかった。「お客さん、…
[連載]標本室の男
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小説『標本室の男』【最終回】
「お客さんどちらまで?」「海…」どこでもいい。東京を離れたかった。タクシーは走り去り、独りぽっちになった。その瞬間-!?
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小説『標本室の男』【第18回】
自分は嗤いものになるために、東京に出てきたのだろうか。骸骨はもう決して人前では本当の姿を晒すまいと心に誓った。
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小説『標本室の男』【第17回】
半身筋肉男は厭世的に呟く。「生きていることは幸運でもなく不運でもなく、ただそれだけのことだ」と。
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小説『標本室の男』【第16回】
舞台は大都会東京へ。あらゆる物があるということは、何もないのと同じだった。
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小説『標本室の男』【第15回】
ウワサの骸骨、別れを告げる...あんな姿で、あんなに世間知らずで一体どこへ行くというのか。
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小説『標本室の男』【第14回】
しょんぼり骸骨、職を失う。素性の知れぬ人間を雇っていることが元請け会社で問題に。
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小説『標本室の男』【第13回】
寝入る骸骨、謡うようにつぶやく。「春ニナッタセイカ…女性達ガ綺麗ですねえ」
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小説『標本室の男』【第12回】
働く骸骨、適職は交通整理。彼の四角い身の動きが、ここではむしろ明確な意思表示として作用していた。
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小説『標本室の男』【第11回】
先生と骸骨、二人だけの会話をひそかに盗み聞きする男の姿が… 男は顔を歪め、姿を消した
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小説『標本室の男』【第10回】
知らず識らずのうちに骸骨のことを秘密にしていく方向を辿っていく院長
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小説『標本室の男』【第9回】
目の前で秘密を知らない看護師二人に罵られる骸骨。当然動きだして驚かすことはできずに…
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小説『標本室の男』【第8回】
長身でにやけた三流役者といった風貌の三十一歳の医師は看護師の質問をはぐらかし…
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小説『標本室の男』【第7回】
長年あの小学校で標本として暮らしてきたがもう嫌になった。元々出番などないし…
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小説『標本室の男』【第6回】
骸骨にもグローバル化の波!?標本室にまで名声轟く医師に無茶なお頼いをしてきて…
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小説『標本室の男』【第5回】
突然挨拶してきたのはしゃべる骸骨!? イタズラかそれとも…。
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小説『標本室の男』【第4回】
珍しくウイスキーを飲んだ夜。うたた寝し目を覚ますと、診察室のドアが開いていて…。
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小説『標本室の男』【第3回】
理科標本室の前で、ふと人の話し声が聞こえたような…。警備員はさっと身構え…
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小説『標本室の男』【第2回】
幽霊が出るという噂があった校舎を歩いていると、ヒソヒソと話し声がしてきて…。
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小説『標本室の男』【新連載】
【コンテスト大賞作】恩師に誘われて20年振りに訪れた校舎。しかし、男は少しの親しみも持てなかった…。