【前回の記事を読む】「満足?正体を隠してかい? …いつまでそれが続くと思っているんだ。何なら僕からこの家の人に話そうか?」そのことばに硬直した。骸骨はまるで糸で操られたかのようにすっと立ち上がった。そして何も言わずにその場を立ち去った。頭に棒か何かで殴られたような衝撃が走った。くらくらと眩暈がした。「眠ラナイ、疲レナイ、腹モ減ラナイ‥‥ソシテ喉モ渇カナイ」そんなことばを呪文のように繰り返し呟いて…
[連載]標本室の男
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小説『標本室の男』【第47回】均埜 権兵衛
どこへ行っても、誰と出会っても、驚かせ、怖がらせ、嫌悪させてしまう。異形のものは人の中へ入るのは赦されないのだろうか。
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小説『標本室の男』【第46回】均埜 権兵衛
「満足?正体を隠してかい? …いつまでそれが続くと思っているんだ。何なら僕からこの家の人に話そうか?」そのことばに硬直した。
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小説『標本室の男』【第45回】均埜 権兵衛
彼女への淡い憧憬…これは決して口にしてはいけない。というよりも、本当の人間ではない自分には越えてはいけない一線だ。
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小説『標本室の男』【第44回】均埜 権兵衛
この世は何と色鮮やかなのだろう。これを和美に伝えたいと思ったが、その方法が判らない。それがもどかしかった。それでも…
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小説『標本室の男』【第43回】均埜 権兵衛
机に向かって無闇に煙草を吹かした。何だかもう永久に骸骨には会えないような気がした。
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小説『標本室の男』【第42回】均埜 権兵衛
突然現れたあの男の、妙に生々しいマスクと手袋が気になっていた。「おい、そのガイ骨ってぇのは何のことだ、あいつのことか?」
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小説『標本室の男』【第41回】均埜 権兵衛
「あ、駄目だ、見ない方がいい」タイヤの間に、友達の頭部。身体は不自然に平らで、その先はもの凄い血溜まり...既に死人の顔色だった。
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小説『標本室の男』【第40回】均埜 権兵衛
いずれそれをもの哀しく思い出さなければならないのだとしたら、何のために出会いがあるというのだろう。
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小説『標本室の男』【第39回】均埜 権兵衛
目の不自由な妹をカメラに収めていた男――一体何者なのか…ハンドルに齧りつくようにして男の後を尾行した
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小説『標本室の男』【第38回】均埜 権兵衛
少女を抱きかかえたまま、ふらふらと藪の中へ泳ぎ出す骸骨。少女にきゅっと抱き着かれると、尻餅をついてしまい…
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小説『標本室の男』【第37回】均埜 権兵衛
骸骨は少女を信じたかった。すっかりいじけてしまった心で。人を信じるということは、疑うよりもずっと難しいことなのだということを知らないまま。
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小説『標本室の男』【第36回】均埜 権兵衛
初めて触れた人の手だった。あの時、白い杖を渡す時触れた温かくてやさしい手、その小振りな感触は確かなものだった。
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小説『標本室の男』【第35回】均埜 権兵衛
行方を晦ました骸骨。代わりに別の骸骨を置くと患者たちが勝手にクリーニングに出していたと決めつけてしまい…
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小説『標本室の男』【第34回】均埜 権兵衛
「どなた? この辺の人じゃ…」骸骨に全く動じない少女。視線が合わず、白い杖を持っていて…
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小説『標本室の男』【第33回】均埜 権兵衛
もし死体ということになれば火葬にされかねない。生きたまま焼かれる…骸骨の空想は止まらない。
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小説『標本室の男』【第32回】均埜 権兵衛
岬の突端に古びた小さな神社がある新潟県の海浜に来た骸骨。毎日ぼんやりと海を眺めながら…
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小説『標本室の男』【第31回】均埜 権兵衛
白々と哀れむような、何かを咎めるような乗客の目差し。どうしたのだろう、急にどうしたというのだろう。
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小説『標本室の男』【第30回】均埜 権兵衛
自らの姿は隠しながら、その一方で、相手には心を開いて欲しいと望んでいた。そのムシの好さに彼自身はまだ気づいていなかった。
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小説『標本室の男』【第29回】均埜 権兵衛
骸骨探しの手掛かりは少しだけ。シラミ潰しに運転手を尋ねたとして…知っていて庇うかも、何か企んで軟禁しているかも知れない
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小説『標本室の男』【第28回】均埜 権兵衛
この広い世の中には一人くらい自分を受け容れてくれる人がいるだろう。そう考えて自らを慰めた。