夜半の雨はいつの間にか上がり、翌日も快晴となった。朝陽を浴びて窓の曇り硝子が眩しい程に輝いていた。妻の彰子が起きがけにカーテンを引いていったらしい。居間の方で絵里子のはしゃぐ声がしていた。時々それに応える妻のものやわらかな声が響く。今日はドライブに出かける約束をしていた。天気がよかったら岬巡りをするつもりでいたのだ。窓越しの朝陽を見ていると、目の前に青々と広がる海が見えるかのような気がした。だが…
[連載]標本室の男
-
小説『標本室の男』【第8回】均埜 権兵衛
長身でにやけた三流役者といった風貌の三十一歳の医師は看護師の質問をはぐらかし…
-
小説『標本室の男』【第7回】均埜 権兵衛
長年あの小学校で標本として暮らしてきたがもう嫌になった。元々出番などないし…
-
小説『標本室の男』【第6回】均埜 権兵衛
骸骨にもグローバル化の波!?標本室にまで名声轟く医師に無茶なお頼いをしてきて…
-
小説『標本室の男』【第5回】均埜 権兵衛
突然挨拶してきたのはしゃべる骸骨!? イタズラかそれとも…。
-
小説『標本室の男』【第4回】均埜 権兵衛
珍しくウイスキーを飲んだ夜。うたた寝し目を覚ますと、診察室のドアが開いていて…。
-
小説『標本室の男』【第3回】均埜 権兵衛
理科標本室の前で、ふと人の話し声が聞こえたような…。警備員はさっと身構え…
-
小説『標本室の男』【第2回】均埜 権兵衛
幽霊が出るという噂があった校舎を歩いていると、ヒソヒソと話し声がしてきて…。
-
小説『標本室の男』【新連載】均埜 権兵衛
【コンテスト大賞作】恩師に誘われて20年振りに訪れた校舎。しかし、男は少しの親しみも持てなかった…。
- 1
- 2