まだいまも軽い耳鳴りがする。それに、いつもより嗅覚が一層鋭敏になっているせいで、思わず顔をしかめて息を止めた。さっき車を降りたときに見た月は、確かにほのかな火薬のような香りがした。そして、スパイシーなムスクの香水と、黒人女性のデリケートゾーンに塗られたローズ系のデオドラントなどが湯に溶けて混ざり合い、古い壁画の記録のように染みついた脇汗の臭いに熱されて乾いたものが、止めた呼吸の血流に紛れ込んで体…
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