二時は遡って江戸時代半ばをやや下った天明、寛政年間、佐四郎の祖父の時代に移る。祖父の名は白河佐治衛門という。住まいは、先ほど佐四郎がいた川辺の船着き場から南西方向に一里半(約六キロ)ほど離れた市場村(薗村とも呼ばれていた)の見瀬という所にある。元々、佐四郎の先祖がこの地に住み着いたのは戦国時代で、当時、京都の嵯峨野に居を構え、「北面の武士」をしていた先祖の白河右京ノ介が、備中警護と監視のために市…
家族の記事一覧
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