2章 家族 ~私を支えてくれた人たち~

神在月(かみありづき)

帰省の度に義父が空港まで車で迎えに来てくれた。義父は車を走らせながら東京では見られない景色の説明で「ほら、防風林だぞ」と川からの風よけで大きな木を植えている家のことを教えてくれた。

義父が亡くなってからというもの、義兄がいつも空港で待っていてくれた。実家までは車で30分ほどだがその間に目にするものは山や川、田んぼばかりでその中でも大きな斐伊川(ひいがわ)と立派な神立(かんだち)橋は有名である。

義兄が送迎してくれた車の中では時々、神事の話をしてくれたことがある。

出雲の神話と言えば「ヤマタノオロチ」で「昔は大きな斐伊川が氾濫を繰り返していたようで、その様子を八つ頭の大蛇が暴れる様にたとえられてあの神話ができたという説もあるんだよ」と話をしてくれた。義兄は幼少時に義父と一緒に神話のことを調べて名所を巡ったようであった。

そんな義兄は義父母の晩年を一人で介護してくれました。

「二人が同時にインフルエンザになった時には大変だった」とつぶやいていましたね。遠距離を理由にお手伝いもできずに申し訳ございませんでした。長い間、たった一人での介護を本当にありがとうございました。

出雲の縁結び空港には以前「ようこそ ご縁の国」の文字とともに、大蛇を退治するスサノオノミコトとヤマタノオロチが飾られていて迫力があり好きでした。

その後リニューアルされて「美肌県 しまねへようこそ」の文字に様変わりした。帰省する度に新しい温泉に連れて行ってもらい、島根県は温泉が豊富なことと肌のキレイな人が多いので頷けるフレーズだ。

出雲大社には幾度となく参拝をしているが、アラ還にして最もパワーのある場所が大社の一番奥にあると知った。

素鵞社(そがのやしろ)と言って御本殿北側の石段を数段上がった場所で、その社の下にご利益のある砂があり持ち帰ると、お清めのお守りになると言われ、その砂の正しい頂き方がある。

出雲大社から一番近い「稲佐の浜(いなさのはま)」があり、この浜の砂を持って素鵞社の砂と交換するという決まり事である。

この浜には弁天岩があり、神在月(10月)には日本中の八百万の神様が最初に降り立つ場所とされている。事前に下調べをしてから行くことをお勧めする。また、神々が大会議を終えて自分の国に帰る時には斐伊川の神立橋から旅立つと言われている。

川一つ、橋一つとっても神話がある。神話の国、島根県出雲には是非とも神在月の10月に訪れ出雲大社に参拝し、素敵なご縁を感じてほしい。

ケンさんは小さい頃に大社の方を見るとそこだけに雲がかかっていて不思議に思ったことがあると話していた。

とにかく言葉では言い表せないパワーがあることは間違いなく、何を隠そう私が独身の時に先輩が出雲大社に行くというので「お守り」をお願いしたところ、頂いてからひと月後にケンさんとの出会いがあったのですから。

どうぞこの本を読んでくださっている皆様も、出雲にお出かけになり、恋愛、友情、仕事などの良縁が結ばれますように!