筋萎縮性側索硬化症患者の介護記録――踏み切った在宅介護

いつまで生かせたいですか。

この先生は、今までにも何人もの不治の病の人を診ていらして、この段階に来ている病人であれば、家族としても疾うに命の期限も主治医から宣告されていると思われて「いつまで・・・」という言葉になったのだとは思います。

私たち家族としましても、今までにも在宅療養ももう限界ではないかと何回も考えて参りました。

しかし、夫が在宅療養を望む限り、今は耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び(どこぞで聞いたお言葉ですね。ホホホ)これは神仏が私たち家族に与え給うた試練だと思い、進もうと思います。みなさまのお力をお借りしながら・・・。

今はただ、前進あるのみなのです。

(どうぞ、家族の意気込みからお察しください)と私は心の中で声高に叫びを挙げておりました。

見つかった『オアシス』

毎日天井をみつめて寝ているだけの夫。変化するものといったら時間によって替わる看護師、ヘルパーさんの顔だけという単調な生活に、少しでも変化をつけることができ、家以外の変化を味わうことができたら良いのにと、娘が人工呼吸器装着者も受け入れてくださる介護支援事業所を探して、電話帳片手に端から端まで電話をしました。福山市内の全介護事業所一覧を見ながら。

ところが難病中の難病と言われる夫の病気、筋萎縮性側索硬化症(略称ALS)患者を受け入れてくれる介護施設は残念ながらわが福山市には一社もありませんでした。

まず、電話で全部まで言わなくても、ALSという病名を聞いただけで

「うちはALSの方はお受けできません」

という言葉が即座に返ってくるのです。