「それって当たり前のことでしょ。
商売として受け入れる側は、手間のあまり掛からない、ただ食事の支度をしたり、身の回りのことは自分できちんとできるじじ、ばば。大勢で一つのことが一度に出来る人の方がどれだけ楽か判らないでしょ。手間もかからないし、人手も少なくて済むし。
人工呼吸器なんて面倒なものを着けたり、胃に穴を空けている人をびくびくしながら預からなければならないなんて大迷惑なことよ。介護福祉なんて表向けのきれいごとよ。そういうところは、利用は日曜、祭日は休みって言うと思うよ。
病人に日曜も祝日もないでしょ。それなのに平気でそういう言う決まりを施設として作るんだから、うわべだけ、うわべだけ」
と言われてしまいました。
現代社会の現実を目の当たりに突きつけられた私は、悔しいことにこれに対し、一言の抗弁もできませんでした。二〇〇〇年に介護保険制度が施行されて以来、同時に施行された成年後見制度と比べ、この介護の分野は大変な人気があると聞いておりました。
それだけに中身のお粗末さをこんなところで思い知らされ、ちょっと戸惑いを覚えました。
そこへ朗報がもたらされました。まさに捨てる神あれば拾う神ありというものなのでしょうか。
私たちがいつもお世話になっているALS協会の看護師さんが、わが家の夫の病状を説明した上でも引き受けても良いという事業所があると、ご紹介くださったのです。
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次回更新は7月2日、11時の予定です。