純也が指差した先は、よほど混む時間帯でなければ埋まらない、隅の陰気な席だ。そこを一人で陣取っている猫背の女。できれば関わりたくないタイプだが、確かに硬貨を交換した理由は気になる。「ちょっと待て」ひどくつまらなそうな声を出したのは、純也だ。「二人揃って緊張感のない顔しやがって。質問変更だ。国生、あの女のスリーサイズを訊いて来い」さすがに顔が引きつった。訊きづらい上、そもそも知りたくもない。見兼ねた…
[連載]赤い大河
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小説『赤い大河』【第8回】塚本 正巳
一人で座る猫背の女。その女に「スリーサイズを訊いて来い」!? 声をかけてみると、尖った視線で白眼視されたが…
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小説『赤い大河』【第7回】塚本 正巳
「五円玉二枚と十円玉、交換してくれませんか」券売機の前に、殺気立った様子の変な女がいた。俺に気が付くと振り向いて…
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小説『赤い大河』【第6回】塚本 正巳
大学生活が名残惜しくなった学生最後の夏休み。「まさかこんな時期に、就職先の発掘?」と友人に横槍を入れられ…
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小説『赤い大河』【第5回】塚本 正巳
もしかして私と彼を別れさせた自称間男は、男ではなく、女かも?ある人物が思い浮かび…
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小説『赤い大河』【第4回】塚本 正巳
妊娠を報告した後、逃げるように家を出てしまった彼。意を決して連絡してみると…
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小説『赤い大河』【第3回】塚本 正巳
妊娠を報告した彼は何故か戸惑っていた。段々と帰りが遅くなり、そして…
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小説『赤い大河』【第2回】塚本 正巳
赤子の安らかな寝顔に、二度と会うことのない彼を思い出して…。
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小説『赤い大河』【新連載】塚本 正巳
カプセルホテルで産まれた命。泣き声を止めようと、その喉に…。