松林の中に入ると一瞬、目の前が暗くなる。強かった日差しが松に遮られたせいらしい。目も老いたようで、調節機能がこの頃上手くいかない。蝉の声が松林を震わせ、空気を震わせ、耳の中に潜り込む。毎年夏になるとここは蝉の音で溢れる。蝉は命を音にするような鳴き方をする。蝉を人間の身体ほどにすると、この鳴き声は大阪あたりまで届くとか、何かで読んだ気がする。日に焼かれた風が吹き抜けた。そろそろ三時を回った頃だろう…
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