初めて登る北の山長い梅雨が終わると、夏は本番になった。山の男友だちと三人で東京を出発。私たちはいま、新潟から小樽に向かう大型フェリーのデッキに立っている。日本海の波は静かだ。ウラジオストックの方面に太陽が沈んでいく。28歳の藤さんが、30歳の島さんと53歳の私に言った。「明日の朝4時に小樽に着いて、そのまま車で旭岳温泉に行くだけだったら、時間が余りすぎますよ」「……」どうするか、これは宿題として…
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エッセイ『エスケープ[コンテスト大賞特集]』【第5回】横山 空
高次脳機能障害の母と共に歩んだ14年。倒れるまで働いた母を、今度は私が支えたかった。
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小説『千恵と僕の約束』【第6回】成田 たろう
できることならあの頃に戻りたい…「ちゃんと娘を一人前に育て上げ、一人で生きていけるのか?」