1.摂食障害との人生
1-1:摂食障害のきっかけ
最初の一年は拒食症。どんどん痩せていくわたしに、周りのみんなは、痩せた、痩せたと注目してくれて声をかけてくれた。それがうれしすぎて、どんどん、どんどん、エスカレートしていった。それでも両親は関心がなかったのかあまり気づいていないようだった。
中学に入って今度はその反動で、過食嘔吐を覚えてしまった。大量に食べる、でも痩せていないと怖い。だから嘔吐でチャラにする。最初は軽い気持ちでやり始めたことだったのに、実にこれが、この後、二十六年間も続くとはあの時はさすがに想像もできなかったことだ。
ひどい過食嘔吐を毎日毎日来る日も来る日も続けて、それでも、何食わぬ顔で勉強も運動もやってのけていた。誰にも気づかれないように。当然誰をも寄せ付けないオーラを放っていたと思うし、実際誰も近寄ってきてはくれなかった。
十三歳の中学生になったばかりの少女が朝四時起きし、二時間のマラソンをし、朝六時からは一時間必ず勉強する、という自分ルールを一日たりとも崩さずに繰り返していたのだから、それはそれは、奇妙でしかなかっただろう。摂食障害という爆弾を抱えながらも、
自分に厳しく倒れることなく突き進んでこられたことが奇跡に近い。
1-2:大学受験
悪戦苦闘しながらの日々を潜り抜けて、大学受験。毎日死ぬ気で勉強したつもりだったが、摂食障害が邪魔をして思うように勉強できなかったのかもしれない。滑り止めと呼ばれるレベルから中堅校までことごとく失敗した。
ほぼエネルギーゼロの状態、無気力で、最後の力を振り絞って臨んだ、第一志望校。入口の門をくぐる時、ぐっと両手のこぶしを握り、「落としたらタダじゃおかないんだから」とにらみをきかせて、テストに臨み、終わって帰る時には、「わたしを落としたら、きっと後悔するよ。この逸材をなぜあの時落としてしまったのかと。だから必ず受からせて」とまた心の中で言い放ってそこを離れた。
でも、今回ばかりはさすがに、これまでのところ全滅しているわけで、自信がなさすぎた。大丈夫、絶対大丈夫、という気持ちといやいや、とはいえ、現実的に見て今回は厳しすぎるだろうという思いが交錯していた。結果は、なんと合格だった。