1.摂食障害との人生

1-3:妊娠と出産

あまりに長い間こんな不摂生な生活をしてきたので、妊娠、出産など不可能だと思い込んでいた。

幸運なことに一人目を妊娠した時、これをきっかけに何としてでもやめなければ、大切な命を授かったのだからという思いは十二分にあったが、それでもやめることはできなかった。結局出産の三時間前までひどい過食嘔吐を繰り返し続けた。

体重も、胎児がお腹にいるのにもかかわらず妊娠前より七キログラムも減ってしまっていた。

たまたま何気なく病院に行ったのだが、これはたまたまではなかったようだ。

医師に、今すぐ入院、でないと胎児が非常に危険だと言われたのだ。

破水していて羊水がほぼない状態だったらしい。

これは、水槽の中に水がない状態で金魚が水槽の壁にへばりついてなんとか生き延びようと必死にバタバタもがいているような状態と全く同じだったようだ。

そんな危険な状況も乗り越えて無事に出産し、出産を機に過食嘔吐は止まった。

いや、実は、過食はずっと続いていて、嘔吐をしないように必死で耐えていたのだと思う。

それでも数か月経ってふと気が緩んだある日、スーパーで見つけたチーズケーキがあまりにおいしそうで、気づけば、2切れかごに入れて、買ってしまっていた。それを家に帰った瞬間我慢できなくなってほおばったら、そこから過食スイッチが入ってしまって、そこらにあるものを手あたり次第食べあさってしまった。ぶり返したのだ。