【前回の記事を読む】この時にちゃんとあやまっていたら、これから進む地獄道には行かずに済んだのかもしれない・・・
布石
違和感、第2波
夏を迎えるあたりから自分の使っていたものを北区の家に、こっそりと取りに帰ったりしたりしていた。
家に入ると家の中の何かが違う。色も匂いも微妙に違う。細かいことが目に入る。何やら派手なブラジャーが干してある。娘の物にしてはちょっとアダルトな感じだし、享子のブラ?
それにいつも享子の寝ている場所に何日も同じ荷物が置いてある。なら享子はどこに寝ている? この家では寝てないのか? 何かおかしい。謎と疑問が疑惑に変わる。
そうなるとトシカツは自宅の周りを探索し始めるのだが、仕事もあるし24時間張り付くこともできない。
トシカツは享子にラインを送った。まだラインはつながる。
「昨日の夜、どこかに行っていた?」「どこにも行ってないよ」と享子が答える。
トシカツには一計があるのか「家にいた?」と聞いた。すると享子は「家で寝ていた」と答えた。
実はトシカツはその夜、享子の車が家にないことを確認していた。裏は取れていた。
トシカツは将棋の王手を掛けるように「ウソつき!」とラインを送った。ラインのやり取りでも享子が一瞬凍りつく感じが伝わってきた。語るに落ちる? なのか? 「どうでもいいじゃん!」享子の動揺がラインでもわかる。
やはり何かある。もうトシカツの頭の中は疑惑でいっぱいになる。何? 悪い想像ばかりが頭の中を何回もよぎる。ノイローゼになりそうだ。
思案六法
人というのは一つのことをずっと考えていると、それこそ寝ても覚めても、仕事をしていても考える。24時間ずっと考えていると、突然、閃きが訪れる。尾行? そんな時間もない。やり方もわからない。なら探偵? いやそんなお金もないし。何か、いい方法はないものか? 享子の携帯にGPSでも付いてないかなぁ、ん? GPS? トシカツに閃きが降りた。使えるのか?
さっそくネットで調べてみた。しかし今の世の中の凄いこと! 知りたいことが手のひらの中の携帯一つで、何でもわかる。何から何までわかる。当然GPSの仕組みから使い方、お値段までわかる。
調べてみると10日間のレンタル使用で2万5千円くらい。トシカツにも手の出る値段だ。さっそく問い合わせて申し込んだ。