範子に駆け寄り、ポケットから楽太鼓を取り出して握らせる。彼女は手の上で黄金色に輝く小箱を一瞥しただけで、すぐ足元に置いてしまった。すかさず逆のポケットを漁り、二個目の楽太鼓を取り出してみせる。「俺はここで食べる。お前も食べれば」小箱を開けて中身を取り出し、慣れた手つきで包装を剝ぐと、中からつるりとした小豆色の菓子が現れた。豪快に半分ほど齧り取る。餡の風味と求肥(ぎゅうひ)の粘っこい食感が、程よい…
小説の記事一覧
タグ「小説」の中で、絞り込み検索が行なえます。
探したいキーワード / 著者名 / 書籍名などを入力して検索してください。
複数キーワードで調べる場合は、単語ごとにスペースで区切って検索してください。
探したいキーワード / 著者名 / 書籍名などを入力して検索してください。
複数キーワードで調べる場合は、単語ごとにスペースで区切って検索してください。
-
小説『赤い大河』【第22回】塚本 正巳
「新しい父はどんな幸せをもたらすだろうか」そう期待していたが、実際は何も起こらなかった。無害な父を演じるばかりで.....
-
小説『カスバの女』【第5回】竹中 水前
日本食のあとは、やはりひかえめな日本人の女だ。酔いと共に男は夜のパリへと繰り出していく
-
小説『大阪弁で読む『変身』[話題作ピックアップ]』【第7回】作者/フランツ・カフカ 翻訳者/西田 岳峰
【大阪弁『変身』】馬鹿でかい虫になった俺を見たみんなの反応――自覚したで、冷静さを保っとんのは自分だけやと。
-
小説『約束のアンブレラ』【第18回】由野 寿和
「なぜ殺す必要があった?」その問いに虚ろな目をした犯人は雨に打たれながら言葉を紡いでいく…
-
小説『赤い大河』【第21回】塚本 正巳
「それで何か買えよ」貯めていたお金を渡すも、突き返されてしまう。ひとりの近所の女の子をどうしても気にかけてしまう、その思いは....
-
小説『シウカラ』【第6回】山田 光美
「彼は、死ぬ間際にあるコトバを残した。“ヒエタノアレモコロサレキ”」…ヒエタノアレ? 聞いたことがある、確か『古事記』の…
-
小説『大阪弁で読む『変身』[話題作ピックアップ]』【第6回】作者/フランツ・カフカ 翻訳者/西田 岳峰
【大阪弁『変身』】「動物の声でんな」「私らをおちょくっとんちゃいますやろな?」…俺の声、誰も一言も理解できんかった…?
-
小説『聖なる川のほとりで』【第10回】飯島 恭広
「インドの下痢は、日本の薬では絶対治らない」治療方法は断食⁉
旅人が経験するインドの洗礼 -
小説『約束のアンブレラ』【第17回】由野 寿和
嘘だ、嘘だ…。なぜ婚約者は死ななければならなかったのか。ことの発端は刑事の「交通事故」?
-
小説『忍者風魔 ~戦国時代を生きた風魔小太郎~』【第13回】鏡本 ひろき
三年前にさらわれて村を出て、秋田へ。さらった相手と二人で暮らすようになり、ついには…
-
小説『赤い大河』【第20回】塚本 正巳
「そんなんだから友達いないんだよ」うっかり口にしてしまった嫌味が、ずっと口の中に残っているようなひどい気分だった。
-
小説『ミネルヴァの梟』【第13回】御田 観月
「会社を辞めて、家族をどのようにして養うの」政界進出への第一歩を踏み出そうとした矢先、妻から言われた一言に……
-
小説『海のように深く、大地のように温かい』【第9回】天馬 ときわ
「魚がさばけへんでも経営くらいできる、魚は生臭いから嫌」…店主の一人息子は、嫌々仕事をしとる。俺に物言われるのが嫌そうや。
-
小説『奇譚空間』【第9回】八豆 うらり
「四の五の言ってないでスマホをよこせ!」そう詰め寄ってくる高校時代の同級生に思わず…
-
小説『大阪弁で読む『変身』[話題作ピックアップ]』【第5回】作者/フランツ・カフカ 翻訳者/西田 岳峰
【大阪弁『変身』】「ほな今すぐ開けますよって。」――本気でドア開けて姿見せたろか! いざ俺の姿を見たらなんと言うやら…
-
小説『約束のアンブレラ』【第16回】由野 寿和
司法解剖の結果、遺体の最後の食事は36時間前。失踪した女性は3か月もの間監禁され、そして昨日殺害された?
-
小説『八事の町にもやさしい雪は降るのだ』【第9回】宮野入 羅針
処女だった彼女は、僕に身を委ねてくれた。殺風景な六畳の和室、薄い布団に包まりながら、僕の胸に顔を伏せていた。
-
小説『赤い大河』【第19回】塚本 正巳
「どれだけ能力を持っていても、その力を自分のためにしか使わない人は、絶対に幸せになれない。...最後には周りに誰もいなくなっちゃう」
-
小説『雨の中のレインボー』【第9回】葛城 仁
「東大合格すごいですね」と言われるが、入っただけじゃ大したことない。この話題が一番つらい。授業はさぼって図書館に入り浸り…
-
小説『大阪弁で読む『変身』[話題作ピックアップ]』【第4回】作者/フランツ・カフカ 翻訳者/西田 岳峰
【大阪弁『変身』】「ビジネスマンなら、多少の不調くらいチャチャッと治して」…いっぺん俺と同じ目に遭わんもんやろかこいつ