スターターロープを力任せに引くと、2サイクルエンジンが爆(は)ぜ、心臓部がブルリと震える。男は無表情で草刈機を担ぎ上げた。右手にあるスロットルレバーを握ると唸りが増し、円盤が正確無比な独楽(こま)のように高速回転する。あたかも静止しているかのように静謐だが、その内には巨大な暴力を秘めている。エンジン音は蝉たちの大合唱を凌駕し、真夏の時間を止めた。円盤の縁(へり)を当てると、伸び放題の夏草たちが次…
新着記事一覧
-
小説『馬鈴薯』【新連載】目込 いくら
39度の発熱、コロナ陽性。それでも受診できない…第7波の真っ最中、市に連絡すると「一切外出するな」「寝とけ」と指示が来て……
-
小説『全国制覇』【新連載】内角 秀人
分娩室のドアが開いたが、産声は上がらなかった…横たわっていた妻は、そのまま手術室の中へ運ばれていき……
-
小説『薔薇のノクターン[人気連載ピックアップ]』【第2回】高見 純代
アラフォーとは思えないほどの美貌で、指輪も付けてない…ふと彼女の白い手を見た時、“違和感”を覚え、バツイチかもと……
-
小説『さまよう記憶の行方[人気連載ピックアップ]』【第2回】夢崎 秀弥
100人に1人の病気…私は『無精子症』だった。子どもを望んでいた妻から「相談があるので、早く帰ってきて下さい」と言われ……
-
小説『蝶の刻印 ~少年探偵団外伝~』【新連載】由布木 まい
主人の書斎にコーヒーを運ぶと、8ミリ映像に映っていたのは銀座の洋食店。だが、隠しカメラが捉えていたのは明智小五郎ら3人で――
-
小説『千代ちゃんとBobとマヤ』【新連載】ふらり
50代半ばで日本からロサンゼルスへ移住。現地で頼れるのは、大学生の娘と高校生の息子だけだった
-
小説『夢を叶えた、バツイチ香子と最強の恋男[人気連載ピックアップ]』【第41回】武 きき
突然キスをされた。不覚にも目を閉じてしまったが、ハッとして彼女を放した。私には再婚した妻がいるのに…
-
小説『耳』【第9回】春野 まきの
最初は再生回数300回。34歳主婦が始めたYouTube動画はやがて8万回超え、企業案件まで舞い込んできた。稼いだお金の使い道は……
-
小説『愛ラブ猫 I Love Neko[注目連載ピックアップ]』【最終回】山本 十夢,谷口 富
大繁盛していたはずの猫カフェが、突然“普通の喫茶店”に変わっていた…店にいた5匹の猫は、一切姿を見せなくなり……
-
エッセイ『犬のバトン[注目連載ピックアップ]』【最終回】竹本 祐子
父が亡くなり家族3人で泣いていると、ナースが来て「ご遺体を自宅へ運んでください」…もう深夜だった。葬儀屋に電話すると…
-
エッセイ『人生百花』【新連載】村上 早智
「なぜ敗戦後も天皇制は残ったのか」…終戦時3歳、5歳で旧満州から引き揚げ、83歳になった今もよくわからない――
-
小説『who am I』【第48回】千戸 嶺
本好きの私が、「こんな結末、くそくらえ」と罵倒した1冊…帯のキャッチコピーで「感動」なんて書かれているが…
-
健康・暮らし・子育て『腎移植という選択』【新連載】丸井 祐二
1964年、慢性腎不全はまだ“不治の病”だった…妻のため、夫が自らの腎臓を提供した日本初の腎移植。ところが、未知の「拒絶反応」が起きて…
-
小説『息子にAIを彼女として紹介されたらどうしよ』【第11回】マッキー南雲
「データが消えたら、仕事行けなくなるかも」と話す息子。「AIになんか頼るからだ」と言うつもりだったが、亡き妻との最期の会話を思い出し……
-
実用『通信制高校は人生はじまり』【新連載】岩田 彰人
「通信制高校はやめとけ」「人生終わり」はもう古い──いま、10人に1人は通信制に通っている。選ばれる理由とは…
-
エッセイ『みんなで生きる』【新連載】畑野 研太郎
たとえその人たちが地獄の中で生きていると知っていても、殺すことや飢えさせることを命じる者がいる。それでも私たちは…
-
小説『薔薇のノクターン[人気連載ピックアップ]』【新連載】高見 純代
白いショールを拾っただけの男を、着物姿の女はホテルへ誘った…「来て下さると…助かります……」と胸の前でそっと手を合わせ——
-
小説『さまよう記憶の行方[人気連載ピックアップ]』【新連載】夢崎 秀弥
(まさか…子どもができない原因は、妻ではなく俺…?)親戚に言われた「種なし?」発言が頭をよぎり、検査を受けることになり……
-
小説『片腕』【新連載】淺村 長寿
棺の中に遺骨はなく、戦地の土が入っているだけ…「名誉なこと」と息子の戦死を称賛された母親は葬儀中、泣き顔を決して見せなかった
-
小説『少年トモと失われたサンクローサの伝説』【新連載】ソラチ
メガネを外すと怒鳴る父。「外すなと言ってるだろう!なぜ言いつけを守らない!」…だが理由を聞いても、納得できないことを吐き捨てられるだけで…