【前回の記事を読む】離婚の危機!?――玄関を開けると、女性の靴が…? 真っ直ぐ寝室に向かい扉を開けるとそこには若い女性と夫の姿が…

 第十一章 親友のお祝いと長期出張

【美樹編】

「二度と悲しい思いをさせないからな。離れないで! 怖かった。家に入るまで、帰ってきているか心配だった。ああ、ごめんよ」良かった。

荷物を片付けたら、いつの間にか夕方。

「夕飯はラーメンでも食べに行こうか」

「ええ、良かった。体も心もくたくただし、作る元気ないの」

嫌味を言った。少し意地悪かな。手を繋いで出かけた。

ラーメン屋がいっぱいで中華屋さんへ。たくさん注文した。

「明日は一人でお片付けしてね。罰です」

「……そうだよね。せっかく来てくれたのに、嫌な思いをさせて。分かった。一人で頑張るよ」

「そうだよ。あのベッドで寝たくないの。嫌なの」

「分かっているよ。月曜日は午前中に荷物の送り出しで、午後から、支社に挨拶して本社に戻る。いつもの時間に帰れると思う」

「ええ、待っているね。ウフフフフ」沢山食べた。

夜は早めにベッドに入り、優しく、しつこく愛された。耳元で、

「早く、月曜日の夕方になれ~」と囁いている。離れるのはもう嫌だな。

日曜日は、涼真さん、いやいや十時頃に家を出た。頑張れ。罰だ。気になる、気になる。アパートに着いた頃、あれとあれは段ボールへ、あれとこれはスーツケースへと電話で指示した。