【前回の記事を読む】「今日だけ、私の彼氏になってくれない?」――憧れていた女性からの誘惑。妻に二度と悲しい思いはさせないと誓ったのに…
第十二章 悲しい、辛い出来事
【涼真編】
翌朝、二日酔いと嘘を言って寝室から出られない。考えが思い浮かばない。三時頃美樹が、
「大丈夫」と心配してくる。「ああ、大丈夫だよ。お腹空いた」本当は、怖くて心配しすぎて空腹を感じない。
どうすればいいのか分からない。美樹は何かを感じている。正直に話した方がいいのか、嘘をつき通す方がいいのか、考えても頭がパニックに陥る。
オオー、怖い! ドキドキしながらお粥を食べた。美樹が、
「どうしたの。何か変よ。私の顔も見ないし何かあった?」
ドキッとした。動揺してる。美樹は何か気付いている。
「嘘や隠し事は嫌だよ。言いたい事があったら正直に話して!」
どうすればいい? ……勇気を出そう。
「実は昨日、浮気をした! 憧れていた女性と。酔ってもいたし誘われて、自分でもびっくりした。美樹以外には勃起しないが、何故か彼女に勃起しそうになったんだ。驚いた。 ……でも、気が付いた! 違うと、最後まではしていない。挿入する前に萎えた。本当だ!」
「…………」
何も言わない。ただ、黙って下を向いている。
「美樹にばれたら怖いと思ったんだ! でも嘘をついては暮らせないと思った。正直に話した方がいいと思った」
何を言っているのか、パニクっている。それでも美樹はただうつむいている。美樹は大きく、ため息をついた。
「ふぅ~、やはり無理だよ。別れましょう」
バカな事を言っている。