「何を話し合うの。許して欲しいって事? バカな事を言わないで! 一生忘れられないよ。それぐらい、傷ついたんだよ。夫婦でやってはいけない事だよ。その女性を抱きたいと思ったんでしょう。別れたら遠慮なく抱いたらいいよ!」

「抱きたいと思わないよ! 別れたくない」

「昨日は抱きたいと思ったんでしょう」

「……酔っていたんだ。言い訳だけど」

「止めましょう。これからの事を話しましょう。私は出て行くので明日からアパートを探す。元には戻らない!」

「僕は、美樹がいないと生きていけない!」

「フン、冗談でしょう。そう思う人が簡単に浮気はできない! 私より彼女を選んだって事よ」

「違う!」

「何が違うの! 堂々巡りだよ。止めよう」

僕を見ない。ああ、どうしよう。

それからの毎日は地獄だった。

朝も見送ってくれないし、夜は夕飯を作ってくれるが一緒には食べてくれない。美樹はソファーで寝ている。抱きしめたい。可愛そうだ。

本当にもうダメなのか。別れたくない。今更だけど酷く傷つけたんだと感じた。心が痛い!

二日後、果歩から電話がきた。

「涼真君、この間はごめんなさい。奥様は大丈夫だった?」僕は答えなかった。

「また会いたい。会って欲しい」

本連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。

 

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