【前回の記事を読む】下着を脱ぐことは考えてなかった…身体を重ねるような体位もあり、まるで恋人から受ける親密な密着マッサージだった。

Chapter 1

ハイスペイケメン花川流星との出会い

「パラダイスアロマの仕事が、本業なんですか?」

「いいえ、大学院を卒業したばかりで、4月から都内の外資系IT企業にITエンジニアとして、就職する予定です」

「はあ、凄い。大学院卒業の理系でITエンジニアさんになるんだ……」

「はい。でもここも副業として、当分勤める予定ですので、宜しければまた、ご指名してくださいね」

「あっ、そうなんですねー、良かった。こちらのお仕事も当面続けてくれて」

(にしても、都内にはこんな絵に描いたようなイケメンでハイスペックな人、本当にいるんだ。まるでドラマに出てくる人物みたい……郊外の平凡なパート主婦の私とは、別世界の人って感じ……。ここに流星くんが勤めてなかったら絶対に出会う事はない人だわ)

そんな思いが、真由子に浮かぶ中、今度は流星が話し出す。

「理系ですけど、僕はフランス文学や哲学が好きなんです。ちょっとマニアックですけど、マルキ・ド・サドが好きで、彼の作品を翻訳したフランス文学者で作家の澁澤龍彦の作品も愛読しています」

「澁澤龍彦……聞いたことはある気がしますけど……あの渋沢栄一と何か関係がありますか?」真由子は、かろうじて知っている実業家の渋沢栄一の名前を言ってみた。

「親戚ですね。澁澤龍彦は知らなくても、『悪徳の栄え』とか、サドマゾは知っているでしょう? サドマゾを日本に紹介した人なんです」

「そうなんですね。あの有名なサド侯爵がマルキ・ド・サドで、彼を日本に広めたのが澁澤龍彦。何となく分かってきました」

「僕は快楽主義に興味があったので、その関連の哲学書もよく読みました」

(流星くんは本もよく読む知的な男子なんだわ。私も文学は好きなほうだし、サガンの小説は高校時代によく読んだわ。実は過去世があるなら私はフランス人だったかもって感じているから、流星くんと私はどこか共通点があるのかもしれない……)

流星は、楽しそうにマッサージしながら話を続ける。

「僕はお酒が好きで、中でも日本酒が好きなので秋田の日本酒が出るお店とかによく行きますけど……良かったら、真由子さん今度一緒に行きませんか?」

(えっ、いきなり日本酒飲みに居酒屋のお誘いだわ、びっくりするんだけど……)

「日本酒ですか? 私、残念ながらお酒そんなに強くないんですよ」

「あー、お酒はあまり得意じゃないんですか? だったら、お食事でもいいですよ。凄く楽しいと思うから」