(今日初めて来たのに何かデートの誘いみたいなのしてくるなんて積極的。こんな超年上の私に、いったい何でなんだろう……)

真由子は、嬉しいというより、住む世界が違う都会のハイスペイケメンに食事デートを誘われるという思いがけない出来事にドギマギと戸惑うばかり……。流星からは、さらに意外な言葉が続く。

「僕は、舞台俳優やってる友達がいて、去年の2月に男3人で韓国に美容エステを受ける旅行に一緒に行きましたよ」

「韓国は、私も大好きです。てか去年の2月なら私もその月に娘と韓国に行ってます。一緒のタイミングですねー偶然」

(にしても舞台俳優がお友達とか、繋がってる友達も、流星くんは何か違うなぁ。私なんかとは別世界のヒトって感じだ……)

目の前にいる花川流星セラピストは、宣材写真の通称パネマジ(主に風俗業界において、加工をかなりして実物より良く見せる事)のような事は一切なく、むしろ写真以上。

色白できめ細やかそうな肌、顔立ちも現役の俳優やアイドルに勝るとも劣らないくらい整っており、しかも賢そうな受け答えと相まって、魅力的という以外の言葉が見つからないくらいの存在だ。

こんなイケメンと個室に2人っきりで過ごす空間は、人生の大半を地味に過ごしてきた真由子には、まるでワンダーランドに迷い込んだようだった。すっかりハイスペイケメン花川流星の魔法にかけられた真由子の、初めての2時間コースは、あっという間に終了した。

シャワールームでアロマオイルをさっぱりと洗い流して帰るマンションの玄関前で、流星は、優しく輝く、眩しい笑顔を真由子に見せて言った。

「真由子さん、今日は大変有難うございました。またぜひいらしてくださいねー」

「あっ、はい、ぜひまた流星さんを指名させて頂きます。凄く楽しかったです。本当にカッコよくてドキドキしました」

こうして真由子の初めてのパラダイスアロマと花川流星との出会いの時間が終わった。

真由子は、先ほどまで過ごした夢のような時間に頭がぼーっとしたまま電車を乗り継ぎ、都心から1時間以上離れた湘南の自宅に帰りついたのだった。

帰ってからも、パラダイスアロマ店の公式のセラピスト個人LINEで、花川流星とは繋がっている。そこがまた真由子にとっては嬉しいことだった。

次回更新は6月16日(月)、18時の予定です。

 

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