Chapter 1
ハイスペイケメン花川流星との出会い
望月真由子57歳、首都圏の郊外で家族と生活する平凡な主婦である。
地方に住む高齢の父が亡くなり、実家の整理や母の老人ホーム入居の世話をするため、15年勤めたスーパーを辞め、久しぶりの専業主婦生活を送っている。
時間が出来たので、真由子は今までやってみたかった事を少しずつ行っていた。全身の医療脱毛、くすみやシミ取りのレーザー治療。レーザー治療の1ヶ月後くらいに、ぶり返しの色素沈着が出てくることもあるので、時間にゆとりがある今ようやく出来たのだ。
そんなこんなで、3月になっていた。
日差しが気持ちよいうららかな春のある日、真由子はふと、何年も前から気になっていた深夜のテレビ番組で紹介されていたイケメンがマッサージしてくれる店に行きたくなっていた。
お金と時間に余裕が少しだけ出来た今なら遊びに行ける……。
思い立ったら、真由子はすぐ行動に移す派だった。いや今まで何年も行きたかったのを仕事や家庭の用事に追われて忘れていたのだが、暇になって急に思い出したのだ。
なぜ、イケメンマッサージの店に真由子は行ってみたくなったのか?
真由子と夫は、若い頃からSEXレス夫婦であり、寝室もずっと別々でSEXはおろか、抱きしめたり、いたわりあったりのイチャイチャやスキンシップが極端に少ない結婚生活を送っていた。
その事に真由子は、長年、大きな不満を抱いていたのだ。がしかし、夫はスキンシップや親密なコミュニケーションを非常に苦手とする男だった。
真由子はあまりに夫にほうっておかれた不満から、40代の頃に出会い系サイトで知り合った 10歳以上年下の男性と浮気をした事があった。
50歳を過ぎてからはスーパーのパートで一緒になった品出し担当の男子高校生を「品出し王子」と名付けて密かな片想いをしたこともあったが、リアルはその程度で、もっぱら韓国ドラマの人気俳優やK POPのアイドルグループをユーチューブで見たり、たまにライブに行って異性にときめく気持ちを満たしていた。
真由子は、若い年下のイケメン男性がタイプだった。それは若い頃から一貫して変わらない真由子の好みだった。
なぜそんなに年下が好きなのか? それは夫婦生活がなく長年過ごしたため、少女っぽい感性のまま年を重ねてしまったからとしか言いようがない。